・ ページ22
柊生が言っていた"全部は鵜呑みにするなよ?"という言葉を思い出す
私が聞いたのはあくまでも周りの人から見た草川くんの過去であり、彼自身が体験して感じたものは聞いていないから
大変だったね。とか辛かったね。なんて容易に言えないけれども
これだけは、私だからこそ言える
『草川くんも私と同じで止まってるんだねって思った』
抽象的に言いすぎたからか、草川くんはキョトンとした顔をしている
「えっと…どういうこと?」
『うーんと、過去の出来事に囚われてまだ前に進めていないってこと?』
ゆっくりと彼は私の言葉を自分の中で噛み砕き、理解したみたい
過去を振り返ることは消して悪いことではない
過去があって今の自分がいるのだから
ただ、私たちはあまりにも過去に囚われ縛り付けられている
光がさす横には必ず影があるように
生きるということの隣には死があるように
これらふたつは当たり前のことだけれども
それらと同じように今の私たちには今に、過去がどこまでもしがみついてきて消えない
私はそこから抜け出したい
出来ることなら草川くんと一緒に
だから、だから!
77人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蓮華 | 作成日時:2021年2月7日 17時