傷を抱えた私達は (ページ14)

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その人は、幼なじみ"だった"小笠原海

2「A…」

海は驚いた顔をしながら私の名前をつぶやく

やめて、私の名前を呼ばないで…

過去の出来事がフラッシュバックしてきて体が震える

海の後ろから海についてきたであろう3人の女子がひょこっとこちらの様子を見ている

あぁ、あの時みたいだ

「…ん～？誰か来た？」

膝の上で寝ていた草川くんが起きた声で今はあの時ではないと実感し徐々に落ち着きを取り戻す

視線を外したいのに海から外せなくて、固まった私はただ海を見つめることしか出来ない

海はゆっくりと私から草川くんへと視線を移し少し表情を歪まながら

2「拓弥、Aと知り合い？」

と聞いている

自分のことなのに他人事のように私と草川くんの関係ってなんだろう？なんて考えていると

「いや、さっき知り合ったばっかだけど海こそ知り合い？」と聞く

海はこの質問になんて答えるのだろう

答えを知りたいと思う気持ちよりも知りたくないという気持ちが勝って、その場から立ち上がり

『ごめんなさい。もう行きますね』と言って海の横を通り抜けて逃げた