気が気じゃない。 ページ35
in 2017
「おい、チビ女」
『なんだ胸の無駄毛がボーボー男』
「無駄毛じゃねえよ！ 必要だわ！！！」
そう言って彼は胸を指す。
『どこが！？ 汚いやん！！！』
うろたえる彼にAはばっさり言い捨てた。胸毛こそ生えていないものの、へそ周りやすね毛までは処理していない自分に若干釘を刺されたような気持ちになる。
「いや、そんなこと言うなよ……
俺だって生えてほしいと思ったわけじゃねえんだよお……！！！」
俊光の胸に立派な胸毛が生えているのは周知の事実だ。初めは驚いたけど何回も見たし、自然と慣れる。
「つーかさあ！ マツコさんの彼氏にも生えてんだら！？」
『亮はいいの。胸じゃないから』
短絡的な理由で許された。本当にいいのか分からないけど、不快な思いをさせていないのなら安心だ。
「甘すぎ。俺にももっと優しくしてくださいよ、中学からの仲じゃないですか」
『じゃあ亮に厳しくすればいい？』
「は？」
「そうじゃねえ！！」
なぜか俺が巻き込まれた。俺が俊光のような扱いを受ける……？
「無理。Aの特別がいい」
『じゃあ今まで通りだね』
「なんでそうなるんだよ……」
はあ、と俊光は鬱陶しそうにため息をついた。小さな喧嘩が多い2人だけど、俺は気が気じゃない。目の前で繰り返される痴話喧嘩は俊光によるAへのコミュニケーションの一環だ。
「俺もマツコさんに愛されてみたかったなあ……」
俊光は学生の頃、Aが好きだった。俺と同級生で学校が一緒ならAとも一緒だ。
“亮、ママから忘れ物預かってたの”
“あぶね！ ありがとう”
教室にやってきた彼女を一目見て惚れたらしい。
“なあ亮、あの子1年生……？”
“3年生だよ。童顔だけど俺らの1個上”
“マジか……。バカ可愛いやん……”
当時の俺はAを好きになった意味が分からなかったけど、高校に進学して自分がAを好きになってからは俊光は危険だ、と警戒するようになった。
いい男だし優しいしかっこいいし、気づいたら意気投合しているし。Aが新しい男を求めようものなら俊光に引き抜かれてしまうんじゃないか、っていつも不安になる。
『マツコさんには亮くんがいるので』
「……現実見せつけるなあああ！！！」
俊光は泣き真似をしながら頭を抱えた。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます！ これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (
レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです！面白すぎます！頑張って下さい！続き楽しみに待ってます！！！！！！！ (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年5月14日 22時
