サプライズ。 ページ31
in 2019
「あー……、会いたい……」
YouTube Originalのドラマ撮影で1ヶ月間東京に来ている俺ら。衣装のスーツ姿のりょうはiPhoneを眺め、項垂れた。
「マツコさん?」
「うん……。忙しくて東京来れんかもしれんって……」
身長が高くてスタイルが良くて性格までいい。存在そのものがスマートでイケメンなのに、マツコさんが絡めば可愛い亮に変わる。
「しかもさ、俺がファラオで目立つからって十字架終わるまで一緒に歩きたくないって……」
「それはきっついな」
デートや出かけるのが好きな亮なら会えない上に、会えても十字架にデートを阻まれるのは不本意だろう。
東海オンエアは時々滅茶苦茶な十字架を背負わされるけど、こればかりは自分の運の良さに安心するし亮の気持ちを察する。でもマツコさんの気持ちも分かるからどうしようもない。
「でしょ!? 身バレしないように俺も考えてるのに……」
亮はマツコさんと会えない日々への耐性がない。どちらかが、もしくはどっちも多忙の時なんかどうやって乗り切っているのか、心配になる。
「あ、俺マツコさんから伝言預かっとる」
「……なんで俊光なの」
こっちは声も聞けてない、といじけたように睨まれる。知らねえよ。こっちが聞きてえわ。
「愛知に戻ってきたら、マツコさん駅まで迎えに行くってよ」
撮影はあと数日で終わる。俺らはその後東京の仕事がないからすぐに岡崎へ帰れる。
「マジで?」
「マジ。ついでに美味しいパン屋さんを見つけたからモーニング一緒にどうかってさ」
「行く。絶対に行くしそのままデートする」
単純だな。目に輝きを取り戻した亮は本当に嬉しそうにiPhoneの画面と向き合った。
「何しようかなあ……。ねえ俊光、Aがどこに行きたいか聞いといてくれる?」
「なんで俺を使うんだよ! 直接聞けよ!」
とは言いつつも、亮の言うことを聞いてしまうのが俺だ。
「お願いっ!」
きっとこの後マツコさんに探りを入れている。
“人伝いに質問するの、付き合う前みたいでドキドキしん?”
“そんなに”
“俊光くんアホだから分からんか”
“おいチビ抱くぞ”
亮もマツコさんも積極的に俺を弄ってくる。ムカつくけどそれ以上に優しさを貰い、気にかけられているのは確かだ。2人の幸せのためなら使われてやろうじゃねえか。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時