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ついでに卒業祝いのプレゼントが入った袋を渡す。喜んでくれるだろうか、積極すぎるだろうか。春休みに入ってからちょっとした不安を抱えつつも選んだ。
「なんだろうこれ」
「中開けろよ!」
亮は小さな白と黒の紙袋を開け、中の箱を開く。
「キーケースだ……!」
それほど安くはないブランドのキーケース。
私の誕生日は祝ってもらったのに、亮の時は私が避けていた時期だったから何もプレゼントできていなかった。ほんの囁かな思い、伝わるかな。
「鍵?」
『それ、うちの家の。合鍵ってやつ? これからうちに来やすくなるだら?』
「……何それ、嬉しすぎるんだけど」
『わっ!』
大きな体に埋もれる。爽やかな匂いがして胸がキュンと弾む。
「俺Aと付き合ってすごい幸せだわ。もしかしたらAしか好きになれんかも」
『そうだったら嬉しいな』
わがままだけど亮には私だけを見ていてほしい。幼馴染の時とは違う温かで柔らかい気持ちをこれからも大切にしたい。目を合わせ、顔を合わせる度に思う。
「これからも好きでいてね?」
『もちろん。亮も好きでおってね?』
「当たり前!」
見上げれば、大好きな優しい笑顔を向ける彼がいた。
気づくと周りには誰もいない。亮の仲間達は各々解散して遼太と柴田くんは亮ママの隣で……
『あ、やばい。やらかしたね』
「何が?」
『ママにバレちゃった……』
「……あ」
親に隠してきた交際が見事にバレてしまった。いつか話す気でいたけど、完全にやらかしてしまっている。2人で慌てているうちにママが教室内に入ってくる。
「2人はそういう関係?」
『……はい』
何を言われるんだろう。別れなさいって言われるのかな……。
「なんで言ってくれなかったの!? Aちゃんなら大賛成なのに〜」
「マジで?」
「いつか亮とAちゃんが付き合ったらいいね、ってAちゃんママと話しとったのよ!」
案外あっさりと受け入れられた。でも懸念材料が消えて付き合いやすくなったのは気持ち的に楽になった。
『これからも亮と付き合ってもいいですか……?』
「付き合ってあげて!」
良かった。また見つめ合って笑えば、今度こそ柴田くんと遼太、亮ママに冷やかされた。
当然のように私達の付き合いはうちの両親に伝わり、散々からかわれた。
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あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時