検索窓
今日:31 hit、昨日:193 hit、合計:190,676 hit

ページ12

.


『福尾は知らなかったし傷ついとるよ。亮の悪口言うんだったら皆近藤さんと同じだら』


何人かの先輩達がギクリ、と肩を震わせた。



『これ以上この件で誰かが悲しい思いするの、許さんからね』


Aは強い。本当は悲しくて俺よりもしんどかったはずなのに。自分の情けなさを痛感したけど、Aには敵わない。



「A、ごめんね」


ミーティングが終わった後、Aを呼び止めた。



『やっとAって呼んでくれた』


2人でプライベートな話をするのは久々で緊張していたのに、Aは全く関係のない話題で気を逸らす。



『寂しかったんだよ? 亮にマツコさん呼びされるん』


「ごめん……」


『マツコは大切なあだ名だけど、亮のAはもっと大切だげ』


マツコさん禁止、と明るく言ったAは嬉しそうに満面の笑みを浮かべていた。

甘えてくれる女の子が好き。でも俺は頼もしすぎるほどに頼もしいAが好きだ。今度こそ逃げない。Aから、自分の気持ちから。



「分かった」


『もしマツコさん呼びしたら外周5周追加ね?』


「鬼すぎん?」


『鬼じゃない。鬼呼びでプラス3周です!』


「じゃあA様で1本減らして?」


『ちゃっかり減らしてもらおうとしんで!』


その日から俺とAは1年前のように戯れるようになったし、一緒に帰ったり勉強を教えてもらうようになった。無事に特進クラスになれた俺はAから勉強面で色んな情報を得た。



『私お母さんと一緒でね、助産師になりたいの』


「うん」


『県外の大学行くこと考えたけどね、名古屋志望にした』


「え、国立の?」


『うん』


大学進学で愛知から出ていくかもしれない。でも俺の心配はあっさりと拭われた。少し遠くなるけど愛知にいてくれるなら会いに行ける。



“俺が大会で優勝し、Aが合格したら告白する”


Aへの想いが日に日に増していく。遠距離でも告白しようと思ったけど、愛知県内ならなおさら告白して付き合いたい。Aの彼氏になるのは俺がいい。



「……っ、はあ、はあ……」


「最近の亮、バカ頑張るやん」


「目標が、あるから……」


『無理して壊れんようにね』


徹也にもAにも心配された。でも俺は前しか向いていなかった。Aの引退後、俺は大会で優勝した。

Aも無事に名古屋の看護学科に合格した。

♯→←♯



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
558人がお気に入り
設定タグ:東海オンエア , りょう   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あおやなぎ(プロフ) - AYN98036518さん» 初めまして、ありがとうございます! これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2021年1月5日 15時) (レス) id: 098b1a6f9b (このIDを非表示/違反報告)
AYN98036518(プロフ) - 面白いです!面白すぎます!頑張って下さい!続き楽しみに待ってます!!!!!!! (2021年1月4日 12時) (レス) id: 12406a430a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年5月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。