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magic 35  九頭竜side ページ7

金属音に驚き、思わず目を開ける。




「どうもっ、お久しぶりです」



そこにいたのは、そう言ってけらけらと笑う豹だった。






確か、名前はーーー赤間遊兎。



演劇部のエースで、かつての友人の友人でもある。








「・・・何しに来た?」




俺の問いに赤間は答えず、代わりにこう言った。





「まあまあ、細かいことは良いじゃないですか。



 それより、どうでした?・・・・好きな女が他の男と抱きあってる姿は」







一瞬、赤間が何を言っているのか俺には分からなかった。



・・・否、分かりたくなかった。






先ほどまでの光景が、頭の中にフラッシュバックする。




優しげな笑顔を向けられていた男が、昔の俺に重なってみえた。





時が人の想いを変えることくらい、分かっていた。



それでも永遠を信じていたかった・・・・そんなことを考える俺は、思っていたより


とうの昔に壊れてしまっている。









「・・・・見てたのか?」





ようやく出た声は、ひどくかすれていて。


これが皆から怖がられてる九頭竜京摩かよ、となんだか笑いがこみ上げた。






その問いにまたも赤間は答えずに、無表情のままこう告げる。





「言っときますけど、栞音先輩と・・・・アスヒは、付き合ってないですよ」



「・・・あっそ」





そうか、まだ付き合っていないのか。



そんな胸の奥に沸いた淡い希望を隠すように、ぶっきらぼうに返した。







・・・・俺は、馬鹿なんだろうか。




もう諦めるって、何年も前に決めたはずなのに。


それでも赤間の言葉に正直に反応してしまう体を少し恨んだ。









「まあアスヒは栞音先輩のことが好きみたいだけどね」



そう言ってくすくすと笑う赤間を、じっと見つめる。




俺の視線に気づいたのか、赤間の笑い声がぴたりと止まった。









「・・・なあ、お前は何が目的なんだ?」






今までの言動から察してみる限り、こいつと俺は偶然出会ったわけではなさそうだ。



むしろ、赤間が俺を探していたといわれた方がぴんとくる。






どうして俺を探していたのか。




まさかあいつとあの男の関係を俺に知らせるためだけに、走り回っていたとは、到底思えない。









俺の疑問が伝わったのか、赤間がにやりと口角をあげーーーこう言い放った。








「今日の放課後、練習ルームで・・・・・・・・栞音先輩に対抗戦を申し込みました」

magic 36  赤間side→←お知らせ



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友っち - 初めてのコメントです。最近読み始めたので、失礼かもしれないですが、どんなに遅くても、作品を読み切りたいです。頑張ってくださいね! (2015年11月30日 16時) (レス) id: be4f9f14c9 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 初めてのコメント失礼します。私はこの作品を読みきりたいです。応援しています (2015年9月7日 22時) (レス) id: 1b9eafbb53 (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - 沢山のコメントがいただけて、驚く半面本当に嬉しいです。最近ようやく時間が作れるようになってきましたが、まだ小説を書けるほどの余裕はなくて…。もう少し、時間をください。すみません。 (2015年8月13日 18時) (レス) id: fb8f65ae95 (このIDを非表示/違反報告)
のえる@遙 - お久しぶりです(笑)スマートフォンからのコメントになってしまいましたが…。私としては鎖奈さんの手で終わらせてほしいと思ってます。高校が大変なのは十分分かっているのですが、お願いします!受験合格いたしました(笑) (2015年8月11日 14時) (レス) id: 2c50856b56 (このIDを非表示/違反報告)
月片 - 私は、いいとかわるいとかの基準がわからないけど私にとってはとてもよい作品なので最後まで読みたいです (2015年7月16日 22時) (レス) id: f00d58d32a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鎖奈 | 作成日時:2014年4月13日 12時

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