magic 42 アスヒside ページ14
「んーと、じゃあ私が教えてあげよっか〜?」
背後から艶を帯びた声がして、思わず振り返る。
そこには・・・・
「天文部の射水アスヒ君だよねぇ〜? 私はにゃみりんだよぉ、よろしくぅ」
笑みを浮かべた女性が、僕に向かってその手を差し出していた。
何も考えられられないまま目の前のその人の手を握る。
薄桃色の髪に、真っ白な肌。猫耳付きのフード。
栞音先輩とはまた種類が違うけど、でもとても綺麗な人だ。
そして・・・
“じゃあ、私が教えてあげようか〜?”
さっきの艶っぽい声の持ち主でもあって。
きっと先ほど聞こえた黄色い歓声は、彼女によって作り出された物なのだろう。
「アスヒ君、って呼んでもいい〜?」
「あ、はい! ど、どうぞなのですっ!!」
「私のことはにゃみりんって呼んでくれていいからねぇ」
にゃみりん先輩は人懐っこそうな笑みを浮かべ、僕の隣に腰を下ろした。
しばらくたって。
「・・・あのさ」
にゃみりん先輩がどこか重たそうに口を開く。
先ほどまでの間延びした口調は、もうすっかり形をひそめていた。
「アスヒ君は・・・Aちゃ・・・栞音ちゃんのことを、応援しに来てるんだよね?」
「? もちろんです」
先輩のことをちゃん付けで呼んでいる・・・ということは、
もしかして2人はご友人なのだろうか。
尋ねようと思ったが、にゃみりん先輩の瞳に映る悲しい色に思わず口をつぐんだ。
にゃみりん先輩がかすれた息を零す。
「栞音ちゃんのことをどう思ってる?」
先輩のことをどう思っているか。
それを伝えるのは、どうしようもなくありふれた言葉になってしまうけど。
でも、それでも。
「好きです」
心なしかにゃみりん先輩の瞳が揺れたような気がした。
「僕はまだ、栞音先輩のことをよく知らないのです。
先輩がもしかしたら手にしているかもしれない、痛みも、傷も、何一つ。
でも、先輩がどんなに重いものをその体に抱えていても、僕はきっと先輩を好きで居続けます。
僕は先輩の何気ない言動に救われたから、だから。
今度は先輩を僕が守りたい」
出来ることならこの想いを、今目の前で僕のために戦ってくれているその人に届けたいけど。
恥ずかしいし迷惑に思われないか心配だしで、今はまだ伝えられる気がしないのだ。
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友っち - 初めてのコメントです。最近読み始めたので、失礼かもしれないですが、どんなに遅くても、作品を読み切りたいです。頑張ってくださいね! (2015年11月30日 16時) (レス) id: be4f9f14c9 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 初めてのコメント失礼します。私はこの作品を読みきりたいです。応援しています (2015年9月7日 22時) (レス) id: 1b9eafbb53 (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - 沢山のコメントがいただけて、驚く半面本当に嬉しいです。最近ようやく時間が作れるようになってきましたが、まだ小説を書けるほどの余裕はなくて…。もう少し、時間をください。すみません。 (2015年8月13日 18時) (レス) id: fb8f65ae95 (このIDを非表示/違反報告)
のえる@遙 - お久しぶりです(笑)スマートフォンからのコメントになってしまいましたが…。私としては鎖奈さんの手で終わらせてほしいと思ってます。高校が大変なのは十分分かっているのですが、お願いします!受験合格いたしました(笑) (2015年8月11日 14時) (レス) id: 2c50856b56 (このIDを非表示/違反報告)
月片 - 私は、いいとかわるいとかの基準がわからないけど私にとってはとてもよい作品なので最後まで読みたいです (2015年7月16日 22時) (レス) id: f00d58d32a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鎖奈 | 作成日時:2014年4月13日 12時