magic 40 アスヒside ページ12
張りつめた空気にごくりと唾を呑んだ。
赤間代表が振り回す鋭い刃を、栞音先輩は顔色一つ変えずにステップをふんで避けていく。
観客からもどよめきが広がった。
「すごい、赤間先輩の攻撃を避け続けてる!」
「あんだけ速い鎌回避するとか、何者だよ」
その多くは、どれも栞音先輩を称賛するもので。
「・・・・ふふ」
自分のことでもないのに、なんだかすっごく嬉しくなってしまうのです。
その時、どこからか歓声が聞こえた。
別段栞音先輩たちの様子に変化はない。
・・・けれど確かに、周りの人たちからは黄色い声が飛んでいて。
「何なんでしょうか・・・?」
人ごみを覗き込めたらよかったのだけど、あいにく僕の背じゃそれも叶わない。
後でほかの人たちに聞いてみようと、どうにか自分を納得させ
僕は視線をガラス窓の中へと戻した。
「それにしても・・・・」
なんで栞音先輩は、能力を使わないのでしょうか?
もう試合開始から5分近く経過しているはずなのに、2人は能力を使用していない。
さっき栞音先輩のクリスタルが一つ、赤間代表に持っていかれた。
それ見る限り、確かに栞音先輩の身体能力は並外れているけれど、
やはり優勢なのは赤間代表なんだろうなあ、と思う。
僕が赤間代表だったとしても、自分が優位に立っているときに
わざわざ能力を大勢の前で披露したりはしないだろう。
だから、赤間代表が能力を使わないのはなんとなくわかるけど、でも・・・・。
「なんで栞音先輩は、自分から攻撃しようとしないんですか・・・?」
きっと能力云々じゃなくて。
さっきから栞音先輩は、赤間代表の攻撃を回避しようとしかしていない。
・・・自分から攻撃しない限り、対抗戦には勝てるわけないのに。
そのとき、端末のスピーカーから声が聞こえた。
“能力使ってもいいんだよ?”
“使うわけないじゃないですか、どうせすぐ先輩に“模倣”されちゃいますし”
“模倣”?
ますます意味が分からない。
目の前の現状と、スピーカーから聞こえてきた言葉と。
いろんなものがこんがらがって、訳が分からなくなったその時・・・・・
耳元で、少し眠そうな声が聞こえた。
「んーと、じゃあ私が教えてあげようか〜?」
長い薄桃色の髪が、ふわりと揺れた。
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友っち - 初めてのコメントです。最近読み始めたので、失礼かもしれないですが、どんなに遅くても、作品を読み切りたいです。頑張ってくださいね! (2015年11月30日 16時) (レス) id: be4f9f14c9 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 初めてのコメント失礼します。私はこの作品を読みきりたいです。応援しています (2015年9月7日 22時) (レス) id: 1b9eafbb53 (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - 沢山のコメントがいただけて、驚く半面本当に嬉しいです。最近ようやく時間が作れるようになってきましたが、まだ小説を書けるほどの余裕はなくて…。もう少し、時間をください。すみません。 (2015年8月13日 18時) (レス) id: fb8f65ae95 (このIDを非表示/違反報告)
のえる@遙 - お久しぶりです(笑)スマートフォンからのコメントになってしまいましたが…。私としては鎖奈さんの手で終わらせてほしいと思ってます。高校が大変なのは十分分かっているのですが、お願いします!受験合格いたしました(笑) (2015年8月11日 14時) (レス) id: 2c50856b56 (このIDを非表示/違反報告)
月片 - 私は、いいとかわるいとかの基準がわからないけど私にとってはとてもよい作品なので最後まで読みたいです (2015年7月16日 22時) (レス) id: f00d58d32a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鎖奈 | 作成日時:2014年4月13日 12時