magic 39 アスヒside ページ11
放課後。
僕は練習ルームの前にやってきました。
ルーキー戦や期末本戦じゃなく、ただの単発対抗戦のはずなのに、
集まっている人の数はそれらに決して見劣りしない。
・・・・・まあ、きっとほとんどの人は、赤間代表目当てなんでしょうけどね・・・。
苦笑しながらも、最前列を確保するために僕は足を速めた。
この対抗戦、栞音先輩は“見に来なくて構わない”と、そう僕に告げた。
でも、彼女の指先が軽く震えていたことに、
それが彼女なりの精いっぱいの強がりだということに、気付いてしまっていたから。
僕の試合を先輩が一番近くで見ていてくれたように、
僕も先輩の戦ってる姿を、一番近くで応援していたかったから。
だから、今日は・・・・・・・・・
「・・・・・・部活、休んじゃったのです」
大好きな部活を休んでしまうなんて、今までの僕には考えられないことだった。
星を観測したい気持ちも確かにあったけれど、
でも先輩の傍にいたい気持ちのほうが、遥かに勝っていて。
・・・栞音先輩の存在が、僕にとってどれ程の大きさになっているのかを改めて実感させられた。
しばらくたって、わあっと周囲から歓声が上がる。
練習ルームの扉をあけて出てきたのは、本日の主役の2人。
赤間代表はともかく、栞音先輩は観客の多さに気後れしているようだった。
大丈夫です、僕は栞音先輩の、ううん、先輩だけのーーーーーーー味方だから。
そう伝えたくて、先輩がこっちを振り返ったその瞬間に話しかける。
・・・・・・・結界で音は届かないだろうから、口パクで。
“がんばってください”
この想いが、先輩に少しでも伝わりますように。
“・・・・うん、がんばるね”
帰ってきた返事は同じく口パクで。
きっとその言葉は、正面に座っている僕にしか読み取れていなくて。
こんな些細なことにさえ、ほんのわずかな優越感と幸せを感じてしまう僕は、
もう大分おかしくなっているに違いないのです。
そんなことを考えているうちに、試合までのカウントダウンが始まった。
15、12,10・・・カウントを重ねるごとに、
心拍数がどんどん上がっていくのが自分でも分かる。
汗ばむ手をぎゅっと握りしめ、ただただ先輩の勝利を祈った。
3、
2、
1、
ーーーーーーカウント0、“試合開始”。
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
友っち - 初めてのコメントです。最近読み始めたので、失礼かもしれないですが、どんなに遅くても、作品を読み切りたいです。頑張ってくださいね! (2015年11月30日 16時) (レス) id: be4f9f14c9 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗 - 初めてのコメント失礼します。私はこの作品を読みきりたいです。応援しています (2015年9月7日 22時) (レス) id: 1b9eafbb53 (このIDを非表示/違反報告)
鎖奈 - 沢山のコメントがいただけて、驚く半面本当に嬉しいです。最近ようやく時間が作れるようになってきましたが、まだ小説を書けるほどの余裕はなくて…。もう少し、時間をください。すみません。 (2015年8月13日 18時) (レス) id: fb8f65ae95 (このIDを非表示/違反報告)
のえる@遙 - お久しぶりです(笑)スマートフォンからのコメントになってしまいましたが…。私としては鎖奈さんの手で終わらせてほしいと思ってます。高校が大変なのは十分分かっているのですが、お願いします!受験合格いたしました(笑) (2015年8月11日 14時) (レス) id: 2c50856b56 (このIDを非表示/違反報告)
月片 - 私は、いいとかわるいとかの基準がわからないけど私にとってはとてもよい作品なので最後まで読みたいです (2015年7月16日 22時) (レス) id: f00d58d32a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鎖奈 | 作成日時:2014年4月13日 12時