お話29 ページ12
赤井が驚いたようにモスグリーンの目を見開く。
「俺は、もう失いたくないんだ!大丈夫、まだ生きてるから」
数名の通信機には、脈拍を計測する機能がついている。
降谷の通信機にも、それがついている。
脈拍が計測出来なくなったら、俺の通信機に連絡するようになっている。
そして、その連絡は、まだ無い。
すべてを知っている赤井は「そうか」と悲しそうに言った。
現状の赤井は、前線で利き手に狙撃を受け、動けない。
だから、待っているしかできないのだ。
「俺はスコッチだ。そんな簡単には死なないさ!」
真っ直ぐ建物に走りながら、そう叫ぶ。
捜査官達は、俺がスコッチという情報に驚き、固まっている。
逃げたもの勝ちだ。
颯爽と走って、裏口の方から中に入る。
下の方だから煙は、ほとんど無い。
確か、五階だったなと降谷の場所を思いだし、階段をかけあがる。
四階頃から少し煙たくなり始める。
五階は薄く白い煙がかかり、見にくい。
体制を少し低めにし、歩いていく。
視界の隅でキラキラと何かが輝いた。
ゆっくりとした歩みが、一気に駆け足へと変わる。
そこには壁にもたれ掛かり、ゼエゼエと荒い息をしているゼロと全く動かないジンがいた。
ゼロは驚いた用に目を見開くと、にこりと笑って、こちらへ手を差し出してくる。
「ヒロ。そっちにいくから」
そう絞り出すように言うと、伸ばしていた手がパタリと地面に落ちる。
焦ってゼロに近づくとジャケットに黒い染みが出来ているのを見つける。
ちょうど、心臓の斜め下位の場所を中心になっている。
今は、なんとか生きていると言ったところだろう。
ジンの方も外傷は見られないが、ゼロと同じようになんとか生きている状態。
「よっこいしょ」と掛け声をかけながらゼロを持ち上げる。
待って、無茶苦茶重い。
ゼロを地面に置いて、今度はジンを持ち上げる。
お!想像より軽いぞ。
このままジンを階段の方へ運ぶ。
階段の踊り場へジンを寝かせると、ゼロの方へ走って戻る。
半分、引きずるようにして、ゼロを踊り場まで運ぶ。
ゴホゴホとむせるが、二人を置いていくなんて出来ない!と自分を奮い立たせる。
カンカンと誰かが階段を上がってくる音がする。
敵だったら嫌だなあとジンのコートから借りた拳銃を構える。
バッと表れたのはコナン君。
「君か・・・」
「ミドリさん!大変だよ。地下で薬品が爆発したみたいで、建物が崩れそうなんだ!」
おいおい、嘘だろ!?
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安曇野レゾ - 桜さん» コメントありがとうございます!ゆっくりですが、更新していくので、よろしくお願いします! (2018年10月16日 20時) (レス) id: 8d7d5a4466 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - このあとどうなるかな?続き頑張って! (2018年10月15日 19時) (レス) id: 4b63d11e04 (このIDを非表示/違反報告)
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