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呪術高専の寮の一階には、大した広さではないけど一応共用スペースがあって
寮母さんに頼めばご飯を作ってもらえる。
小腹が空いたから放課後におにぎりを一つ買って一人で食べていたら、食事の乗ったお盆を持った夏油が来た。
「それ何ご飯?」
「昼ご飯だよ。任務の帰りに渋滞に巻き込まれて遅くなっちゃってさ」
「Aは?」
「何か買い物するって言って途中で降りたよ」
時刻は夕方の5時を回っている。
改めて、じゃんけんに参加させられなくてラッキーだった。
「ゲームでも買いに行ったんじゃない。何か前好きなやつの新作が出たって言ってたし」
「へぇ。すっかりゲーマーだね」
「絶対夏油のせいだから」
———2ヶ月前、夏油が突然4人でゲームをしようと言い出したことがあった。
ゴールデンウィークに少し帰省して、実家にあるゲームを色々持ってきていたらしい。
4人でゲームでもして、親睦を深めようという魂胆だったのだろう。
結果からいうと、この試みは成功だった。
「懐かしいね。私の部屋で朝までゲームしたよね」
私と夏油はそこそこにゲームやって育った方だったけど、御三家育ちの五条とAは、ゲーム機を見たことも触ったこともなかったらしかった。
通信プレイをして、最初は五条とAでずっとビリを競い合ってたけど
何をやらせても習得が速い五条はすぐに私たちに実力が追いついて、Aばっかりが負けるようになる。
初めてのゲームで精神年齢が女児に戻ってた上にAは根っからの負けず嫌いだから、同じ時期にゲームを始めた五条に負けるのは相当悔しかったらしく
何度も何度も勝負を挑んで、気づいたらもう日付が変わってた。
その辺りで私と夏油はもうゲームに飽きてリタイアしたけど、五条は朝まで延々とAに付き合い続けて
私たちは夏油のベッドで雑魚寝をした。
もちろん次の日は4人仲良く寝坊して授業に遅刻。
夜蛾センの拳骨喰らった。
「結局一回も悟に勝てなかったらしいね」
五条相手になるととんでもない負けず嫌いを発揮するAは、あの後自分で中古のプレステを買って研鑽を積んだそうだ。
今はもう、五条に勝つためというよりは普通に楽しむためにやってるみたいだけど。
———あの夜から、私たちはちょっとだけ仲良くなった。
大好きとかじゃないけど、お互い気を遣わないでいれるようになった。
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ヤハウェ(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» 禿同 (7月15日 16時) (レス) @page48 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - ちょっとそのバイト店員さんそこ変わって欲しい (7月15日 14時) (レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» お前の心臓の支配権は…僕にある…‼️チェッックメイトォォ‼️ (7月15日 8時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - なゆさん» おっと、君は僕の使徒かにゃ??面白い!と思ったら大体僕だと思いますよ。面白いという概念を生み出しているのが僕なので(?)こちらこそあざ‼️ (7月15日 8時) (レス) @page47 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
あい(^_−)−☆(プロフ) - なんかすごく心がキュンとしたって言うかなんて言うんだろう深い.... すき..❤︎ (7月14日 23時) (レス) @page46 id: 86f9264a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2023年7月7日 2時