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第20話 御三家 ページ43

「いや、その……」




『……』





Aはプレゼントを背中に隠して、顔の横に「モジモジ」という文字が浮かんできそうなほどモジモジしている。


なかなか用件を言い出さない。





『何か用事?』





Aが何も言わないので悟から聞いてみるが、Aはチラッと悟を見たあとまた目を逸らして、黙った。





「別に…何も……」


 
『……そう』





悟はドアの前に突っ立っているAを他所に、部屋に入ろうとドアを開ける。



Aの方を一瞥すると、明らかに何か用事がありそうな様子だが

本人が何も言わないのでまあいいやと思い、後ろ手に戸を閉めようとした。



が、それはAの手によって阻止された。





『…え、何』



「あのっ、えっと…これ、先輩からもらったんだけど、私甘いもの好きじゃないし、いらないから…ドウゾ……」





もちろんこれはエチュードである。



悟は、自分の方に差し出された袋を受け取った。



Aが自分にプレゼントをくれるなんて、にわかに信じ難かったが

Aの今の言葉が嘘だということはすぐに分かった。




今のはまあ、誰が見ても嘘っぽかったし

Aたちの先輩は歌姫を含めて3人ほどいるが、その誰もがこんな物を買いそうな感じの人ではない。




これは紛れもなく、Aが自分のために選んでくれたものだろうと、判断する他なかった。





『…ありがと』





悟はとりあえず受け取って、戸を閉めた。













部屋に戻ったAは、現在進行形で黒歴史を生産してしまった自分を呪い殺そうと必死である。



なぜもっと冷静な判断をしなかった!と数分前の自分を責めているが、生憎Aの術式は時間に関与できないのでどうしようもない。





ベッドの上でしばらく頭を抱えていると、突然着信音が鳴った。


ケータイを開くと、発信者は何と先ほど黒歴史の製造過程を見せつけた相手である。





Aは数秒ためらってから、電話に出た。





「…もしもし」



『まだ起きてた?』



「…うん」





そういえば、悟と電話をするのは初めてかもしれない。



電話越しに、耳元で聞こえてくるその声は、直接話す時とは少し違って感じられた。





『お前さ、今週末空いてる?』



「…?空いてるけど」



『じゃあ、一緒にどっか行こう。何か奢るか、欲しいもんあったら買ってやるから』



「えっ…」





Aは、自分の演技力のなさを呪った。

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ヤハウェ(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» 禿同 (7月15日 16時) (レス) @page48 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - ちょっとそのバイト店員さんそこ変わって欲しい (7月15日 14時) (レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» お前の心臓の支配権は…僕にある…‼️チェッックメイトォォ‼️ (7月15日 8時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - なゆさん» おっと、君は僕の使徒かにゃ??面白い!と思ったら大体僕だと思いますよ。面白いという概念を生み出しているのが僕なので(?)こちらこそあざ‼️ (7月15日 8時) (レス) @page47 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
あい(^_−)−☆(プロフ) - なんかすごく心がキュンとしたって言うかなんて言うんだろう深い.... すき..❤︎ (7月14日 23時) (レス) @page46 id: 86f9264a88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2023年7月7日 2時

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