第8話 やっぱり迷子 ページ17
この日の東京駅はとても人が多かった。
大方は旅行帰りのため新幹線の席は無事確保できたが、どこもかしこも人でごった返している。
夏油一行は、予約している新幹線までまだかなり時間があるため、駅構内のお店をぶらついていたが
2泊3日の荷物を持って人ごみの中を歩くのはかなりハードだったため、結局待合室の椅子に落ち着いた。
『人多くね?歩くだけで疲れんだけど』
「五条はいいじゃん、無下限使ってるから人とぶつかんないでしょ」
悟は高専結界外で人が多いところにいる時は、大抵無下限を使っている。
呪術界では有名人である悟は、いつどこで誰に狙われるか分からないのだ。
「A、何か探し物?」
先程からAがガサゴソと鞄を探っているのが気になって、硝子は尋ねた。
「ん…忘れ物したっぽい。ちょっと売ってるとこあるか探してくる」
Aはそう言って、一人待合室を出る。
広い駅の中を歩いてお店を探すAだったが、その途中で妙な違和感に囚われた。
壁に寄りかかって立っていた男2人が、Aが前を通った後にスッと歩き出し
ずっと、後をつけているような気がする。
Aはその2人を巻こうと、後ろを伺いながら何度か角を曲がった。
それでもついてくるので、もうお店を探すのは諦めて待合室に戻ろうと思ったが
——適当に歩いたので帰り道が分からない。
親切な案内板があるとはいえ、そこには80%の確率で待ち合わせに失敗するあの大阪梅田ダンジョンをも超える情報量がある。
Aはどっちに進めばあの待合室に戻れるか、全く分からなくなった。
駅員に道を尋ねたいが、駅員がいる場所がどこかも分からない。
新幹線の時間は、刻々と迫ってきている。
これ以上自分で動いてもダメだと思ったAは、通行人の邪魔にならないよう柱のそばに身を寄せて、硝子に電話をかけようと携帯を開いた。
「あの、すみません」
声をかけられて、Aは顔を上げる。
つけてきていた男2人。
いかにも謙虚ですみたいな姿勢を装っているが、愛想の良さの中に図々しさといやらしさが垣間見える
そう、ナンパである。
「すんません、いきなり声かけて。お姉さんめっっちゃ可愛いなと思って」
Aの身体に、緊張が走った。
「今からどっか行くんすか?」
「時間あったらちょっと遊びましょーよ」
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ヤハウェ(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» 禿同 (7月15日 16時) (レス) @page48 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - ちょっとそのバイト店員さんそこ変わって欲しい (7月15日 14時) (レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» お前の心臓の支配権は…僕にある…‼️チェッックメイトォォ‼️ (7月15日 8時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - なゆさん» おっと、君は僕の使徒かにゃ??面白い!と思ったら大体僕だと思いますよ。面白いという概念を生み出しているのが僕なので(?)こちらこそあざ‼️ (7月15日 8時) (レス) @page47 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
あい(^_−)−☆(プロフ) - なんかすごく心がキュンとしたって言うかなんて言うんだろう深い.... すき..❤︎ (7月14日 23時) (レス) @page46 id: 86f9264a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2023年7月7日 2時