第６話 柔らかくて素敵な香り ページ13
『お前のターン』
「……」
Aは、もう半分しか開かなくなった目をゴシゴシと擦る。
「もうむりかも……ねむい…」
『もう辞めんの？』
先にギブアップするのは悔しかったが、Aはうんっと頷いた。
悟はセーブをして自分の分の電源を切ると、Aの分も同じように切って枕元に放り投げる。
とりあえず、ゲーム内では27年ほど時が進んだ。
『お前、ここで寝るつもり？』
Aは現実逃避するように布団に顔を埋めた。
「４階まであがるの、むり……さとる、連れてって…」
Aの部屋は４階にある。
悟から出来るだけ離れたところがいい、と選んだ部屋だったが、たった今その選択を後悔した。
『はぁ？クソ重い雌豚背負って４階までとかお断りなんですけど』
Aはただただ「ん〜」と唸るだけである。
悟はため息をつきながら自分の枕の位置を整えた。
『じゃあもうここで寝れば。起きたらまたどうせやるんだし』
「…いいの？」
『いいよ、別に』
悟はそう言うと、布団をかけて横になった。
「布団よこせ…」
『お前が半分踏んでんだよ』
クーラーの効いた部屋では、布団がないとちょっと寒い。
悟はAが下敷きにしていた掛け布団を引っ張り出して、雑に掛けてやった。
Aはひんやりとした布団の中にきゅ〜と潜っていく。
悟はいつも、ちょっと高級ないい香りがする。
ボディソープなのか、洗剤なのか、はたまた体臭なのかよく分からないが
制服の時も、部屋着の時も、いつも五条悟の香りを纏っていて
Aは今、悟の布団からもそれと同じ香りがするのだということを知った。
花っぽくはなくて、かといってフルーティーな感じでもなく
ムスクっぽいけど、どこか爽やかさもあって
それでいて、香水のように鼻につく鋭さのない、柔らかくて素敵な香り。
「……さとるのにおいがして落ち着く」
Aは悟の掛け布団に鼻を埋めて、そんなことを言った。
その声は小さかったけれど、悟の耳にはハッキリと届いたし
昇りかけの太陽に薄く照らされたAが、心地良さそうに少し微笑んだのも、ハッキリと見えた。
『何寝ぼけたこと言ってんの』
Aのことが大嫌いでも、可愛いと思わずにはいられなかったその柔らかい笑顔に、悟は別にトキメキはしなかったが
ちょっとだけ、微笑んだのだった。
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ヤハウェ(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» 禿同 (7月15日 16時) (
レス) @page48 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - ちょっとそのバイト店員さんそこ変わって欲しい (7月15日 14時) (レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» お前の心臓の支配権は…僕にある…‼️チェッックメイトォォ‼️ (7月15日 8時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - なゆさん» おっと、君は僕の使徒かにゃ？？面白い！と思ったら大体僕だと思いますよ。面白いという概念を生み出しているのが僕なので（？）こちらこそあざ‼️ (7月15日 8時) (レス) @page47 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
あい(^_−)−☆(プロフ) - なんかすごく心がキュンとしたって言うかなんて言うんだろう深い.... すき..❤︎ (7月14日 23時) (レス) @page46 id: 86f9264a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤハウェ
| 作成日時：2023年7月7日 2時
