第5話 盛ろうと思ったけど ページ11
悟はベッドに横になって、Aは悟の勉強机の椅子に座って、黙々と桃次郎電鉄をプレイしている。
『ボンビー憑いてやんの。ウケる』
“ボンビー”とは、目的地から一番離れた場所にいるプレイヤーに取り憑いてくる貧乏神の通称である。
Aは早速ボンビーに取り憑かれていた。
コイツは勝手に金を捨てたりするクソ野郎なので、早めに引き剥がさなくてはならない。
また黙々と、ターンをこなしていく2人。
通信プレイでも途中セーブが出来るという親切な仕組みがあるのだから、それに甘えて少しずつ進めていけばいいのにと思うだろうが
それができないのが桃鉄である。
ターンが終わったら、さて次のターンでは何をしようかと考えてしまう。
脳みそが桃鉄色に染まり、気づいたら止め時を失っている。
現にAと悟も、夜ご飯も食べないまま桃鉄をやり続けて6時間。
時刻は午後10時を回っていた。
「ねぇ、お腹減ってきた。って、もう10時じゃん」
悟はAの言葉を聞いて、6時間ぶりにプレステの画面から目を離して時計を見た。
「私何か作ってこよ〜っと。あっちとここでも通信いけるかな」
悟の部屋は寮の一階にあり、キッチンがあるのも一階なので、まあギリギリつながりそうではある。
『A、俺の分も作ってきて』
「は?めんどくさいから自分でやって」
『ちょっと量多めに作ればいいだけだろ』
「うるさい。どっか買いに行けば」
Aはそう言うが、呪術高専は山の中にあるため最寄りのコンビニまで徒歩で40分かかる。
まだ瞬間移動が出来ない悟にはかなり億劫な話だ。
Aは悟の部屋を出て、何を作ろうかと冷蔵庫の中の具材を漁った。
基本的に、寮の冷蔵庫には色々な食材が揃っている。
各々が個人的に買って入れたものにはパッケージに名前が書いてあり、そうでないものは基本自由に使っていいことになっている。
「簡単だしチャーハンでいいや」
炊飯器を開けると、保温された米が2合分くらい残っている。
Aは少し悩んだ後、2人分の米をフライパンにぶち込んだ。
・
硝子は大体カップ麺ストックしてるよなー、あれ勝手に食べてもいいかなーと悟がベッドの上で考えていると、ドアが開いてAが顔を覗かせる。
「来い。作ってやった」
『…毒盛った?』
「盛ろうと思ったけど探してもなかったわ」
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ヤハウェ(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» 禿同 (7月15日 16時) (レス) @page48 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - ちょっとそのバイト店員さんそこ変わって欲しい (7月15日 14時) (レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» お前の心臓の支配権は…僕にある…‼️チェッックメイトォォ‼️ (7月15日 8時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - なゆさん» おっと、君は僕の使徒かにゃ??面白い!と思ったら大体僕だと思いますよ。面白いという概念を生み出しているのが僕なので(?)こちらこそあざ‼️ (7月15日 8時) (レス) @page47 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
あい(^_−)−☆(プロフ) - なんかすごく心がキュンとしたって言うかなんて言うんだろう深い.... すき..❤︎ (7月14日 23時) (レス) @page46 id: 86f9264a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤハウェ | 作成日時:2023年7月7日 2時