・ ページ2
寮の外で煙草を吸う硝子と駄弁りながら、入学当初のことを思い出していた。
初めて高専に来た日がまるで昨日のことのように思えるのに
ミンミンとうるさく鳴く蟬が、あの日からもう半年が過ぎたことを告げている。
*
———先生に連れられて教室に向かっている途中、先に入学している生徒が2人いるということを告げられた。
先生の口調がまるで、言いにくいことを伝えるようなそれだったのが気になったが、まあ何にせよ、この学年は私含めて3人しかいないのだから仲良くするしかない、と腹を括って教室に入る。
入ってまずは驚いた。
机の下に入りきっていない長い脚をだらしなく伸ばして座っている男の方は、全く色素の抜け落ちたような銀髪で、不思議な瞳の色をしていた。
そしてこれまでに見たことがないくらい、顔が整っている。
大きな目と真っ直ぐ筋の通った鼻が、小さな枠の中に完璧に収められていて、男前というよりは美形といった感じ。
頬杖をついて、退屈そうに虚空を見つめている。
一方、その男から2つ席を空けた場所に座っている小柄な女子の方は、男とは対照的に黒々とした髪色だった。
そして、つまらなさそうに椅子の背にもたれかかって窓の外を見つめている、その横顔だけで分かった。
この人も、とんでもなく顔が整っている。
まるで一度も陽に当たったことがないかのような白い肌には長いまつ毛の影が落ちていて
外の光が反射して少し茶色がかった瞳も、鼻も唇も
全てが黄金比で、まるで人間味がない。
呪術高専って顔面選抜とかあった?と一瞬ありもしないことを本気で考えてしまった。
そのくらい、2人とも信じられないくらいビジュアルが良かった。
私は芸能人を生で見たことはないが、テレビに出てやれイケメンだの可愛いだのと騒がれている人たちよりも
この2人の方がよっぽど綺麗なのではないかとすら思う。
そして、2人は色んなところが対照的なのに、雰囲気がとても似ている。
…と、こんな具合に、一生のうちに出会えるか出会えないかくらいの美形を一度に2人も目撃してしまったせいで
この教室に漂う異様に冷徹な空気に気づくのがかなり遅くなった。
一応新入りであるはずの私に向けられた2人の視線はまるで私に興味がないという感じで、
まだ一言も話していないというのに私は悟ってしまった。
この学生生活はだいぶ苦労しそうだ、と。
1427人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤハウェ(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» 禿同 (7月15日 16時) (レス) @page48 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - ちょっとそのバイト店員さんそこ変わって欲しい (7月15日 14時) (レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - あい(^_−)−☆さん» お前の心臓の支配権は…僕にある…‼️チェッックメイトォォ‼️ (7月15日 8時) (レス) id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
ヤハウェ(プロフ) - なゆさん» おっと、君は僕の使徒かにゃ??面白い!と思ったら大体僕だと思いますよ。面白いという概念を生み出しているのが僕なので(?)こちらこそあざ‼️ (7月15日 8時) (レス) @page47 id: 4505794e30 (このIDを非表示/違反報告)
あい(^_−)−☆(プロフ) - なんかすごく心がキュンとしたって言うかなんて言うんだろう深い.... すき..❤︎ (7月14日 23時) (レス) @page46 id: 86f9264a88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヤハウェ | 作成日時:2023年7月7日 2時