プロのヒモが居候先を完全に間違えた話〈中編〉【伏黒甚爾】 (ページ8)

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ヒモ日記〈1.19〉in bed ページ8

そのあと眠りについたAさん。

今は毎日一緒に寝ている２人。

Aさんは元々、横向きで丸まって寝るタイプの人間
なので甚爾さんの腕の中でもちょっと小さくなって寝ています。

甚爾さんの腕枕は硬いけど安定感があって寝やすいらしいです。

大抵は甚爾さんに抱きついているか、甚爾さんのパーカーをギュッと掴んでいるかのどちらか。

甚爾さんに後ろから抱き枕にされている時もたまにあります。

眠りに落ちるのは大体Aさんの方が早く、Aさんがスースー寝息を立て始めると

甚爾さんはしばらくAさんの可愛い寝顔を見つめるのでした。

そして大事に撫で撫でしていると、甚爾さんもいつの間にか寝てる。

夜中に甚爾さんがちょっと用があって布団から出ようとすると、寝ているはずなのにAさんは絶対に引き留めます。

抱きしめる力が強くなったり、服を引っ張られたりしてお布団から出してもらえないのです。

しまいには「ん〜…」と泣きそうな声が漏れるので甚爾さんも無理やり引き剥がすことができません。

Aさんは確かに、甚爾さんから逃げられません。

いやまあ逃げるつもりもないんだけども、身体脳力は甚爾さんが有利っていうのもあるし、Aさんにはこの家以外に行く当てがないっていうのもあるし。

でも甚爾さんは、逃げようと思えばいくらでも逃げれます。

地球上の女の数だけ行く当てがあるし、足も速いんで…

甚爾さんがどこかに行きそうになっても、自分には止められない…

そう思っているからAさんはいつも少し不安なのでした。

寝ている間でも、甚爾さんの温もりがなくなると無意識に求めてしまうのです。

また一人になるんじゃないかって

やっぱり自分は、誰にとってもいらない存在なんじゃないかって、つい不安になって。

心配ご無用。

Aさんが甚爾さんからの愛に依存しているのと同じくらい、またはそれ以上に、彼もAさんがくれる愛に依存してるんだから。

ムキムキプロレスラーに抑え込まれても逃げられるけど、

Aさんがちょっと指の先を掴んでくるだけで、途端に逃げられなくなる。

そんな不可解な愛の鎖に繋がれているんだから。

じゃあ真夜中にどうしてもトイレに行きたい時はどうすれば…！？

簡単。

キスをするとちょっとのあいだ離してくれますので、その隙をつくのです！！

チョロい鎖ちゃんだね。