プロのヒモが居候先を完全に間違えた話〈中編〉【伏黒甚爾】 (ページ11)

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ブルブル震えているのはAさんの携帯でした。

Aさんのジャケットのポケットからそれを取り出すモブ男。

画面にはもちろん「甚爾さん」の文字が。

モブ男たち、素面だったらこんなことしなかったでしょうけど

酔っていたのでその電話を遊び半分でとってしまったのです。

『なぁ、お前そろそr…』

ﾓﾌﾞ「あ、もしもし〜？彼氏さんか何かですかぁ？」

『…誰だお前。Aの携帯だろ』

ﾓﾌﾞ「申し訳ないんですけど、Aさんは今から俺たちでいただくんで！」

アハハと笑うもう一人のモブ男。

甚爾さんは全てを察しました。

『……そんな風にふざけてられんのも今のうちだからな』

そう言うと、甚爾さんの方から電話を切りました。

もう大丈夫。

甚爾さんはAさんがどこの居酒屋に行ったのかは知っています。

一旦そこに行って、そこから匂いなどを頼りにたどっていけばAさんを見つけ出せる。

ﾓﾌﾞ「場所も何も聞かずに切りやがった。まあ聞かれてもテキトーに答えるけど。馬鹿だなぁお前の彼氏」

ぼんやりとした意識の中でさっきの電話は甚爾さんだったのだと理解したAさん。

Aさんはただそれだけなのに、すごく安心したのでした。

今自分には、自分を心配してくれて、守ろうとしてくれる人がいるんだって思って…。

甚爾さんがホテルのドアをぶっ壊してルームに入ってきたのは先ほどの電話から20分後のこと。

モブ男たちはどうなったかというと…

ﾓﾌﾞ「お、おい、俺たちいつのまに外に…」

ﾓﾌﾞ2「え、何か…って！俺たち裸じゃん！」

ﾓﾌﾞ「うわ！え、パンツは！？」

ﾓﾌﾞ女「キャーー！！！露出魔！！」

ﾓﾌﾞ女2「通報しよ！早く！」

目にも止まらぬ速さで、甚爾さんに真っ裸状態で外へ投げ出されてしまいましたとさ。

男たちを放り投げてから急いで部屋に戻る甚爾さん。

間に合ったというべきかどうかは分かりませんが、Aさんはまだ下着までは脱がされていなかったし、下はスカートも履いたままです。

一番最悪の事態にはまだいっていなかった様子。

でもそうだとしても、

Aさんをただの道具のように思い、甚爾さんが大事にしてきたものを易々と汚そうとしたことは事実。

甚爾さんはいっそのことアイツらを殺してやりたい気持ちでしたが

Aさんのために必死で我慢したのでした。