12話 支度 ページ13
「ちなみにAちゃん、今何時だと思っています？」
その言葉にAは、ハッと我に帰る。
恐る恐る時計に目を向けると、
「あと15分！？」
彼女の自宅から、バイト先の花屋までの距離は、全力で走っていけば10分くらいでつける距離だ。
支度を5分で終わらせれば、ギリギリ間に合う。
Aはそう思い込みたいのか、何度も時計を見つめた後、慌ただしく洗面台にかけていった。
ブラックはのんびりと浮遊しながら、その様子を観察している。
少しすると、彼女は自室に戻ってクローゼットから、バイトの制服を探し始めた。
彼女は、クローゼット内のハンガーにかかったワイシャツを掴み、足元に放り投げる。
そしてAは昨晩着替え損ねたセーラー服に手をかけた。
「…ってブラック！出てってよ！
カメラちゃんも！」
「えー、ダメですかぁ？」
羽をパタパタとさせながら、口を尖らせてそう言う。
「じっー…！」
カメラちゃんもそれに続き、不満げな声を出した。
「オレちゃん、人間の裸なんて興味ないので気にしなくて大丈夫ですよ。」
ブラックは、Aをからかうように笑うと、彼女に一歩近づいた。
「それでも気になるものは気になるの！！」
彼女は顔を真っ赤にして、強引にブラックを部屋の外の方へと押し込む。
Aに押されながら、彼は出口の前まで来ると、ブラックはぴたりと足を止めた。
そして、意地悪な笑みを浮かべ、口を開いた。
「Aちゃん、あんまりやると契約違反ですよ。
オレちゃんを拒まないで下さいね。
貴方は、受け入れなければいけないんです。」
ブラックは少し屈んでAと目線を合わせると、じっと彼女の瞳を見つめた。
受け入れる、とはそれだけ重いことなのだ。
悪魔に拒否権を奪われたと同然だった。
しかし、こんな状況にも関わらず、ブラックに見つめられたAの心に渦巻く感情は恐怖ではなかった。
彼女の耳は、熱く火照り、顔全体は薄く汗ばんでいた。
「まぁオレちゃんは紳士なので、出ていくんですけどね〜」
そんなAをよそにブラックは、余裕な態度で手をひらひらと振ると、部屋を退室していく。
(相手はただの悪魔なのに、何こんなにドキドキしてんだろ…)
彼女はまだ熱の冷めない頬に手を当てながら、1人心の中でため息をついた。
「ちなみにあと30秒くらいで出たほうが良さそうですよー」
ブラックの声に、彼女は慌ててセーラー服を脱ぎ捨てた。
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米 - めっちゃいいです！ーーーーー！！！更新おねがいします〜〜 (11月27日 20時) (
レス) @page22 id: 391b553e6b (このIDを非表示/違反報告)
さじ(プロフ) - ストーリー性があってすごく面白いです！これからも楽しみにしていますっ！ (2021年10月28日 0時) (レス) id: c7307675fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆいろ - めちゃくちゃ面白いです､､､！ＢＣの小説の時点で神なんですが、それに加えてヤンデレ&読みやすくて、もう最高です、、、！更新待ってます！ (2021年8月24日 22時) (レス) id: 56d14b10d4 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年8月2日 12時) (レス) id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
見切れる人。(プロフ) - いなりさん» 応援ありがとうございます！励みになります！いなりさんのBC短編小説もいつもニヤニヤしながら楽しませていただいてます(´∀｀) (2021年2月21日 22時) (レス) id: 09a404df72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：見切れる人。 | 作成日時：2021年2月1日 1時
