【w/r/w/r/d】忘れられる事なき【軍パロ】 (ページ9)

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我々国、総統室。

「なあグルッペン。今日言ってたやつほんまにやるんか。」

「やらないなら招集はかけんな。」

甘ったるそうな珈琲が二つと、ブラック珈琲が一つ。
暖かい蒸気とは裏腹に、部屋の雰囲気は凍るように緊張していた。

「ちなみに具体案は？何も聞いてへんぞ、俺ら」

「そうだな…単純にいえば、直接交渉がいいな」

「……は？いや待てやグルッペン。意味が分からへん。」

「文通や外交でも会える手段はある…だとしても、人数は限られるし公式文書で記録されても困る。だから、限定的な人間が二人を無理やり連れてくればいい。結果的に全員に会えるだろ？」

「…随分強引やけど、現実的にそれしかないんやな？なら無茶すぎる。理解はしてもリスクがありすぎる」

「今自分で言っただろ、それしかないんや。」

「……はあ。トントンは？どう思うん？」

オスマンは先程から黙りこくっている彼に投げつける。と、俯いたまま重々しくその口を開いた。

「…無理。絶対無理や」

あまりにも低い声で言う彼に、グルッペンもが一瞬動揺したが、すぐに怪訝の表情を浮かべた。一段とピリ、とした空気になる。

───────グルさんの言いたいことは分かる、と珈琲を飲みながらトントンは告げ、そして続ける。

「オスマンの言った通り現実味は無いな。宣戦布告してあっちが和平すれば済む話だとはいえ、あっちが戦力差を知ってるやつなんかほぼおらん。全面戦争始めたら俺らだって人的資源が減るんやぞ？」

「ほう…。なら奇襲で脅かしてから布告という形なら？」

「グルッペン？話聞いとったか？」

「馬鹿にしているのかオスマン。簡単な話だろう。Aやエーミールは優秀だ…奇襲した後はこちらの脅威ぐらいすぐ分かるはずだがな。」

オスマンとグルッペンで口論し始めてから、トントンは一人で考え事を始めた、と同時に更にエーミールヘ対する嫌悪感が強くなる。
────────どうしても“あの日”の彼の行動が許容できない。
根に持ちすぎている、といえばそれまでのことではあるが、それぐらいトントンは彼を信頼していたのだ。
彼の名前を聞いていることすら苦になってきたトントンは、残りの珈琲を一気に飲み干して立ち上がった。そして二人に

「……あいつらはいくら幹部とはいえ、蔑まれてる側の人間だってこと忘れんなよグルさん。」

とだけ告げて、部屋を去る。大きなため息をついてから、自室へ向かった。緊張した場から出ても尚、心は冷え切っていた。