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我々国
グルッペンの部屋を出て、しんぺい神を探す。他の部下や幹部から流れるように聞いた情報を経て見つけたのは、既に門を出るところだった。トントンは彼に小走りで向かった。
「ペ神」
「あれ？トントン。話済んだの？」
「おん。…また行くんか？」
「そりゃあ総統命令やし…俺だっていつエーミールさんにバレるか分からんもん、行きたくはないんやで？」
「…そうか。」
────────エーミール。
別に、トントンは元々彼を嫌っている訳では無いし、仲はかなり良かった方なのだ。
ただ“あの日”、国境線戦で村が巻き込まれ、炎に包まれた日。トントンだけが皆を探し逃げ惑う中、エーミールがブール国の軍人とともに走っているのを見た。それが今、トントンにとって大きな蟠(わだかま)りとなっているのだ。幼少期の鮮明な思い出故に、何故と追求するほどの余裕は今まで無く、ただ怒りのみが募っていた。
またもや険しい表情になるトントンを見て、しんぺい神は宥めるように口を開く。
「…ねえ、トントン。俺だって最初は彼のこと信頼してなかったんよ？そりゃあ俺はトントンより関わりはずっと浅いわけだから、トントンが比にならん疑念を持っとるんも分かっとる。だから直接会わな分からんことってあるんやで…それぐらいは分かるやろ？」
「…なんでペ神はその疑念が無くなったんや？」
「今言ったやん。直接会ったからや。」
「っ、…言い方が悪かったか。何を言われたんや。誰よりも早く敵になること決めたあいつに、何を言われたんや。」
「エーミールさんが敵になりたくてなったと思ったか？」
「答えになっとらん。」
「…Aのためや。」
「は？」
「他にも大きな要因は言っとったけどな。仲直りするまで教えんよ」
と、感情的になりかけたトントンの気持ちを置いていくように、しんぺい神は門の扉に手をかける。扉は通信室で開閉を調整しているため、既に開くように手配されていた。
「、なんでや！」
「仲直りせえへんから〜。また今度な」
しんぺい神はまるで小学生をあやす大人のような言い草で門の外へ出て、手を振ってからその場を去っていく。
「仲直り」。立派な役職につく大人が言われるような言葉ではないが、ド正論であった。これはただのすれ違いなのだ。
「…くそ」
既に自動的に閉ざされた門の鉄柵を握りしめて、トントンは舌打ちした。
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作者名：HAL | 作成日時：2017年9月22日 20時
