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なんだか騒がしい日であった。でも、それだけだった。
いつも通りの雑務をこなした束の間の休息、Aはふと飲み物をもらいに休憩スペースへ移動した。点在するいろんな部隊の長たちが各々の時間を過ごす空間はどこか気の抜けた雰囲気が漂い、厳格たる人間も休み時間はこんなものかと安心させる場所だった。一礼してからその場を通過しアンバサダーを起動させようと向かえば、見慣れたエーミールの姿がそこにあった。
「お疲れ様です、部隊長殿。」
「おや、特隊長でしたか。飲み物でしたら私が作りますよ。」
「いやいやお気遣いなく。…あの、少しよろしいですか？」
「何でしょうか？」
「ええと、…今日はやけに騒がしいなと思ったのですが何か…？」
「…場所を変えましょう。ついでに久々にお茶会でも」
そう優しく言ってくれたエーミールは、逆光に映える物悲しい表情を見せた。
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「…じゃあつまり、偵察の報告の限りでは…」
「ええ、そろそろ動きがあるんじゃあないかと考えています。生憎あちらのセキュリティが強固過ぎて諜報部隊が悪戦苦闘している。…これで何かあったら勝ち目などないでしょう」
「またレーベン村が同じ目に遭ってしまうのでしょうか…。」
「それはどうでしょうね。あちらの特徴は兆候から覆される戦法ばかりですから読めません…なあ、でもこんなの理不尽だと思わんか？」
「…部隊長？」
「なんでいつも俺はこんな目に遭うんやろな。常に善と思ってたことが裏目にで始めて……」
「エーミールさん、」
「あんときもだった、きっとまた俺は、なにか」
「エーミールさん！？」
慎重に今後の展望について話していたのに、エーミールは突然自我を忘れて話し始めた。思わず恐ろしくなって止めたAに対してようやく我に返ったようだが、それでも無理に作った表情は歪んだものだった。
「…すまん」
「いえ…。気持ちは分かるなんて言えないけど、なんとなく共感できるので。」
「…A……」
「それに、皆んなと会いたいのは私もそうだし、でも同時に怖いのだって。助け合ったはずなのに、次は殺し合いなんて…。」
それに私、なんだか記憶も曖昧になり始めてるから。
―――Aは、これだけは、どうしても言えなかった。
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作者名：HAL | 作成日時：2017年9月22日 20時
