【w/r/w/r/d】忘れられる事なき【軍パロ】 (ページ16)

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ブール国

―――深夜。エーミールとしんぺい神は個室に鍵をかけ、少々酒を含み、しんぺい神からぽつりと今回起こることを話してもらっていた。

「…ははは。実に彼らしい！大した舞台を用意させられたものです。Aには伝えたのですか？」

「言えんよこんなん！なんのために深夜に話すって言ったと思っとるん！」

「でしょうね！はは…せやな。それは言われててもキツイなあ。嫌なプレゼントですよ。」

「俺も聞いたときは正気かと思っとったけど…。」

「それで？彼らはどんな作戦で挑んでくるんです？」

「いやそれは言えんよ～…お楽しみに、としか言えへん…」

「こちらの情報はダダ漏れでしょうに…。まあ良いんですけれど。」

しんぺい神には彼の表情がふと、再会したての頃の荒んだそれに重なっていた。…作戦の内容、否、場所や天候の演出だけでも思い出すのだろう。

「…なあエーミールさん。…ううんエミさん？もっかい聞かせてくれんかな、なんでこっち側に来たか。」

「おや…どうして今なんですか？大分前に言ったでしょうに。今から戦いが始まってるのでしょうか？」

「ちゃう、これは命令とかやなくて、…俺がもう1回聞きたいねん。聞いて、ちゃんと力になりたい。偽善者ぶっとるのは重々分かっとる。でもな、まだあっちでエミさんに対して解せないって奴がおるから、俺からも話がしたいねん。だから…」

「…そんな必死にならんでも。分かっとる、トントンさんやろ？」

「…！？な、んで」

「だってそら…俺がこっち来るときに見せたトントンさんの顔だけは忘れられんから。」

そんな話は聞いたことが無かったのだ。我々国にいて、トントンから恨み節はよく聞いていたが。別れ間際に彼らが会っているなど知らなかった。その後エミさんは心の整理が着いたように1度溜息をついて、「…トントンさんと何があったかは教えましょう。長くなりますよ？」と微笑みかけ、その時の出来事について話してくれた。

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その日は雨で、空は黒く、雲は重く、地に咲く花は紅く、赤く染まっていた。まだ子供だった俺らはもちろんその光景に何か出来るわけでもなく。村の皆で隠れることしか出来なかった。まだ7歳だったAと、倍ほど年の離れた俺やトントンさん、グルッペンさん…。我々国の幹部らを含めて何人で行動していただろう。その子供だけの集団で身をひそめられるのも、時間の問題だった。