【w/r/w/r/d】忘れられる事なき【軍パロ】 (ページ14)

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ブール国軍事館、総合医務室。

「…ええ、そうなの？う～ん…別に俺はいいんだけどさ、その日雨って気象情報あった気がしたで？………いや、まあ、的確性確かに無いけど…はは、まあとりあえず了解。じゃあね。」

「…軍医長、誰と会話してたんです？」

「ん？医師団体の仲良しさん。会おうって言われたんだよね～」

「ああなるほど…。耳に付いていたのは医師団体のものだったんですね。」

「あ、気になってた？そうだよ～」

───────なんていうのは嘘であるが。
誰もいなかったからと総合医務室で無線を使っていたところを、部下に見られた。…何も疑っては来なかったが。

自分の机に戻って、改めて無線での会話を思い出す。
三日後とはまた随分唐突だったので驚いたが、まあ彼だしな…とどこか妥協していた。

(だとしても、役回りが無茶というか…)

しんぺい神が頼まれた内容は、簡潔に言えば二人を彼らのところまでおびき寄せること。医務班というのは戦況が分からなそうで実はよく分かる。負傷者の頻度と、周辺の騒音の状況を一番冷静に分析できるからだ。

────────信頼度が高いことを利用して、敢えて不利なとこまで向かわせる。そしたら、我々国の精鋭部隊が攻撃すればいい。

グルッペンはそう言っていた。今にもこみ上げてくる笑いを抑えるような声は、いつもに増して脅威的であった。

思わずため息をついて頭を抱える。最小限とはいえ、彼にも、彼女にも傷を付けることになるからだ。

(増してや、エーミールさんとトントンが会ったら…)

トントンのあの憎悪の篭った過去の話し方を思い出すだけでゾッとする。今は人に愚痴をいう程度に語るだけであったが、本人に会ったら。

(それに…)

『失礼します…しんぺい、包帯もらっていい？』

「…おお、おはよA。いいよ～医務室来て～。」

(何の罪もないはずの彼女がブール国を敵に回すことになる？)

取り返したい者。

やり直したい者。

向き合いたい者。

向き合いたくない者。

傷つけたくない者。

傷つきたくない者。

(……………………何が、正しい？)

医務室の扉を開けて、彼女を迎い入れた。