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残り1分を切った。
未だ点数は変わらず、1点負けのまま。
だがボールは常にこっちチームが持っており
あとは入れるだけの状態が何秒も続いている。
湧いていた会場も今や胸の前で手を組んで祈っている人が
大半であった。
残り30秒。
重岡がボールを持ったと同時に望がディフェンスの
傍を走り抜け、ゴール下につく。
ドリブル、左の的場にパス。
時間がない。
的場は迷いを見せず後ろの春山にパスし、
春山が望の近くまでドリブルで切り抜けてくる。
春山から水川へボールが渡る…ところで奪われた。
やばい、と全員が感じた空気を即座に重岡が壊して奪い返す。
残り10秒。
望がゴール下から離れた。
当然向こうから1番マークされているのは望だ。
ディフェンスも彼を追うが、それより先に重岡からのパスが渡る。
スリーポイントライン。
受け取った望はフォームを整え、投げる。
試合終了を告げるブザーが会場に鳴り響いた。
会場の全員が祈ったそのボールは
綺麗な弧を描いて、まるで引き寄せられるよう
ゴールネットを潜った。
『っしゃ！！！』
望の雄叫びを皮切りに、全員の感情が爆発した。
｢小瀧ぃ！！！｣
春｢うおおお！！｣
的｢勝った！！！｣
結果、46対44。
ブザービートにより、こっちのチームが勝利。
喜びの抱擁、喜びの握手。
笑顔が溢れる。
メンバーに囲まれた彼は首だけをこちらに向けて
グッ、と拳を突き上げた。
あたしも頷いて拳を返す。
さっきまで真剣だった彼の顔がふにゃりと解けて、
メンバーにからわれていた。
小瀧望。バスケ部キャプテン。
…あたしの、彼氏。
その隣に見合うような女になりたいと、強く思った。
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年10月18日 19時
