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それまでの小瀧の勢いが急速に萎んだ。



笑ってるけどどこか固くて
あんな大舞台で主役をやりきった彼が
あたしを前に緊張してるんやって。



深呼吸しだしてるし笑



「小瀧、1口いる?」



竜雅くんを断った時点で分かってくれてもいいと思うけど。
こうやってご飯一緒に行って1口いるか聞いたりして
分かりやすくしてるつもりやけど。



『え、えっとな…欲しいけど返事聞いてからがいい』


「今していいん?」


『いや待ってちょっと待って、すぅーー…』



結果が分かってるあたしからしたら、録画したいぐらい
可愛い行為してはる。



『はい、お願いします。俺の彼女なってください』



律儀にも頭を下げて、片手をあたしに伸ばした。
店員さん。後ろにいるん分かってますよ。



なかなか見られない小瀧の頭頂部をじっと見たり
スラッとした指を眺めてみたりと精一杯間を溜めたところで。



その手をぎゅっと握った。



「…あたしでいいなら」



勢いよく彼の頭が上がる。



『まじ!!』


「うるさ笑」



後ろの店員さんがすっと消えたのが分かった。
見守りは終わったということだろう。
今頃ホッとしているのか、それとも実は舌打ちしてたりして。



『ほ、ほんまに?俺彼氏?』


「そのつもりで手を握らせていただいたけど」


『…めっちゃ嬉しいやばい』



あ、またや。
ほっぺに手を当ててる。



どこか他人事みたいに、よかったねとか思ってたら
失礼しますとさっきの店員さんがやってきた。
その手には、小さなケーキ。



…あんなケーキメニューにあったっけ。



「 すみません勝手ながら私の方でお祝いケーキをご用意しました…
望くんの思いが届いてよかったです!お2人ともお幸せに! 」


『まじっすか笑 わざわざありがとうございます!幸せにします』



…なるほど、そういうことで盗み聞きしてたんや。
ええんか悪いんか微妙やけど、こういう気持ちは嬉しい。



『んー、うま!』



小瀧も嬉しそうやし、まぁええか。
それにしても…



望くん、ね。

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作者名:カジャ | 作成日時:2022年10月18日 19時

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