♡ 59 ページ19
人が急にフォトスポットに押しかけてきたから
やむを得ず退散。
大方あの後輩ちゃんがインスタに小瀧の姿をあげたんやろうな。
他の場所でも撮りたかったけど見せもんではないので
あたしの希望の焼きそばやってる2年の教室へ。
小瀧が並んでると前の女子がどんどん道を開けてくれます。
ちゃんと並ぶから！と断っても押しきられて、
まるで某遊園地の某エクスプレスパスの様。
｢ 小瀧くん…！い、いくついる？｣
『2つちょうだーい』
｢ 分かった！すぐ作るな ｣
小瀧ってやっぱ人気なんやなあ。
すごいんやなあ。
何であたしのことなんか好きなんやろ…
焼きそばのパックを2つ手渡す名前も知らない彼女は
それだけで嬉しそうにしてる。
『ありがとー、Aさんどこで食う？』
そんな彼の目はあたししか見ていない。
｢教室行こ｣
『はぁーい』
芸能人と歩いてる気分やった。
どこに居ても大勢の目があって、落ち着かへん。
だからただの空き教室となっている自分たちの教室に逃げ込んだ。
他には、誰もいなかった。
道具を置くために一旦全部後ろに下げた机。
その1番前の机と椅子を2つ動かして座る。
｢ふぅー｣
『疲れた？』
｢小瀧大変やなって思って｣
買ってきた焼きそばをパカッと開ける。
ソースのいい匂いが漂った。
『んー、Aさんおるからそうでもないかな？笑』
｢…なにそれ。笑 いただきまーす｣
『あ。笑った、可愛い。箸1膳しかないから食べさせて』
あーと口を開けている。
なんで1膳だけなんや。
それが小瀧の戦略とは知らず、素直に焼きそばを
口に持って行っては自分の分を食べてを繰り返した。
もうすぐなくなる、というところで、誰も用のないはずの
ここの扉がガラリと開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 306人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カジャ
| 作成日時：2022年10月18日 19時
