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本番1週間前。
この日からは、本番の舞台である体育館で練習できる。
劇をやるのは他に1年に1クラスと3年に2クラス。
そしてあたしたちのクラスで計4クラス。
じゃんけんの末あたしたちが今週2回体育館で練習できることに。
もうキャストは台本や動きを覚えているし
道具や衣装も粗方できている。
これから実際に動いて細かいところを詰めていく段階だ。
ここからの練習では音響や照明が大事になる。
なんせ今日と金曜日しか機械を触れない。
2日間で、頭だけで覚えている流れを体に叩き込まねばならない。
｢マイクで偉そうにすいません。
一応ゲネプロって感じになるし本番やと思って動いて下さい。
音響と照明に口出し多いかもしれんけどお願いします｣
昨日教室でキャストの演技を見た時はもう既に感動した。
全員役になりきってるし恥ずかしげもなく
聞きやすい大きな声で、でも感情こもってて。
中でも…小瀧は憑依してんのかと思うほどの野獣の演技。
多分小瀧の演技力が周りを引っ張り上げてる。
練習見ててもクソ真面目にやってくれてたし、
小瀧がやるならって皆がそういうモードに入る。
人を魅了できるって、すごい。
客席の1番後ろに座って演技はもちろん
裏方の動きもチェックしていく。
｢ごめん照明やっぱりここ全体照らして｣
｢音楽ちょっと小さく！セリフ聞こえへん｣
｢コグスワースの衣装動きにくくない？大丈夫？｣
｢キャストの人全体的に、動きあるとこはもうちょい
大きく動いてもらえるとこっちまでわかりやすい｣
その都度、その都度。
うるさいと思われるかもやけど、引き受けた仕事は
精一杯やりたい。
｢ベル、声張れる？｣
練習中は役名で呼ぶってのも、あたしの中での小さなこだわり。
最初はテンポが悪かったのが、最終下校ギリギリまで
練習を重ねてだいぶ良くなった。
金曜日の練習ではもっと良くなりそうやな。
｢お疲れ様です。めっちゃ注文つけてごめんなさい。
すごい良くなったし金曜も頑張りましょう、
ありがとうございました｣
小瀧とモカちゃんは照明に当たってる時間が長くて
汗だくになっていた。
2人の飲みもんでも買いに行こかな。
練習が終わって早々に、あたしは体育館を離脱した。
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月12日 21時
