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つんつんと頭をつついてみる。
起きひん。
腕にシャーペン刺してみる。
起きひん。
小瀧、と呼んでみる。
起きひん。
「はぁ…」
小瀧が悪いんやからな。
優しくしてたのに起きひんのが悪いからな!
机の脚を持ってグラグラと揺らした。
慌てて飛び起きた小瀧は、真ん丸な目でぽやぽやしながら
今の状況を把握しようとしている。
よし、お役御免や。
「おはよう小瀧。眠いでちゅねぇ?」
『…ねむいでちゅね』
「キモイこと言うな次の問題答えろついでに身長分けろ」
先生僻んでる。
確かにあの人あたしと同じぐらいしかないもんな。
『え〜…わからへん…Aさんおしえて…』
…だから、何であたしなんやて。
何で隣やら後ろに聞かんわけ?
あたしそんなに現代文に定評あるん?
重岡にはジュース奢ってもらうけど…
まぁイケメンは何もなしでええか。
そもそも奢られるような間柄じゃないしな。
もうバレてるのでこそこそも何も無いけど、一応こそっと
小瀧のプリントに答えを示す。
『わかったでせんせ!ウやウ』
「はぁ…お前ら次からAと離してもらえよ」
「お前らて何ですか誰のことですか!」
「心当たりがないやつは反応しやんぞ、重岡」
少なくとも小瀧のファンには睨まれそうで怖。
先生が黒板に答えを書いている間、背中に感触がきた。
なるべく目を見ないように振り返ると、さっき重岡が
やっていたポーズと同じ形で小瀧が拝んでいた。
…あたしはお地蔵さんにでもなったんか?
うん、と1回だけ頷いて向き直る。
やっぱり小瀧への対応分からへん。
…また冷たいと思われてもうたかな。
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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時