きみはペット（緑）３

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そっとたつの心臓のあたりに頬を擦り寄せると
さっきより随分早い鼓動が聴こえて

たつの腕の中から顔を上げると


「もー、そんな可愛いこといきなりせんとって」


はあ、って困ったみたいにため息と一緒に吐き出した後

また『もー』って文句垂れて

腰に回してた腕に力を込めて

私の身体ごと引き上げた。


枕元のオレンジ色のランプに照らされて、ゆらゆら揺れる茶色い瞳が綺麗で

ちゅ、って一瞬だけ柔らかい唇に唇を押し当てたら

今度はもっと長くて深いキスでお返しされた。


ぷは、って唇が離れたと思えば
切れ長の目は緩い弧を描いて


「俺、Aちゃんにぎゅーってされたり、ちゅーされたりすんのめっちゃすき」


ふにゃあ、と欠伸に紛れたような柔らかい声。


「Aちゃんに、必要とされてるんやって思えるから」


満たされた笑顔は、そんなトンチンカンなことを平気で言う。


やっぱり、言葉にしないとわからないことがあるのだ。


いくらテレパシーがあると言ったって。


だから


「たつは私に必要だよ。

たつがいてくれるから、毎日頑張れる」


思いの丈を伝えてみたら

一瞬苦しそうに眉をひそめて


「どうしよう、めっちゃすき」


男の人の声で耳元で囁いて、

お酒で火照った肌を重ねた。


ねえ、こんなにも心地良い関係を壊したくないの。


たつの目が、声が、愛しいと伝えてくれるけれど

もう少し、誰にも邪魔されないあいだは

このままペットと飼い主でいさせて。

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