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「なんだよそれ…」
悔しそうに唇を噛んでるユウトに背を向けて、たつと歩き出す。
これ以上、彼に言いたいことなんてなかった。
それより早く、今言われた言葉を
頭の中から消したかった。
たつの手を握り返して
何も話さないまま、エレベーターに乗り込んで
やっと部屋に辿り着いた。
ドアが閉まる前に、靴も脱がないで、ぎゅうとたつに抱きつく。
少し背伸びして、たつの首に顔を埋めて
胸がいっぱいになるまでたつの匂いを吸い込んだ。
心臓はまだバクバクいってるけれど、たつの腕に包まれたら心は少しずつ落ち着いてきた。
「たつ、なんであんなところにいたの?」
「んー?
Aちゃん帰ってくるの遅いし、駅まで迎えに行こうと思って」
ゆっくり私の髪を指で梳かしながら、
さっきまでの真剣な顔とは一転、
目を細めて柔らかく微笑んで私の目を覗き込むたつ。
「でも、いつもは帰りが遅くてもそんなことしないじゃない」
「ふふ、そやなぁ。
テレパシーやな」
いつもの私なら、『そんなのあるわけないでしょ』って言い飛ばすのに
ついさっきまで私は、確かにたつに
聞こえるはずのない『助けて』を心の中で叫んでたから。
きっと本当に偶然なんだけれど
たつには本当に、私の思ってることが伝わるんじゃないかなって
そんな馬鹿なこと、信じちゃうくらいには
頭が麻痺してる。
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RIO(プロフ) - この作品が毎日の癒しです!更新頑張ってください!楽しみにしてます!!いつかたつsideのお話も見てみたいなーなんて思ったりしてます!笑 (2016年5月4日 12時) (レス) id: a22766c35a (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - ななほしさん» ありがとうございます!ふんわりおっとりなたつが、ななほしさんの癒しになれてるなら嬉しいです(^^)ベタ甘な2人にもう少しお付き合いくださいね。 (2016年3月31日 15時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - hinamiさん» ありがとうございます!ひたすらベタ甘な展開が続きますが、これからもご愛読よろしくお願いします! (2016年3月31日 15時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - Okanさん» ありがとうございます。読み返していただけてるなんて嬉しいです!たつの謎が明らかになるのはもう少し先ですが、それまで飽きずにおつきあいしていただけたら嬉しいです(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年3月31日 15時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - きのこの村さん» ありがとうございます!再びベタ甘に戻ってきました。笑 また男らしいたつが出てくるのか、楽しみにしててください(^^) (2016年3月31日 15時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜音 | 作成日時:2016年3月12日 0時