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救急車がだめだと分かって、私に残された選択肢はふたつ。

ひとつ、そのまま放置。で、誰かがきゃー!って発見してくれるのを待つこと。


ふたつ、私が部屋に連れ帰って看病してあげること。


29年も生きてきて、良識ある大人なら間違いなく一つ目を選ぶと思う。


今あのときに戻れるなら私は絶対に一つ目を選んだ。


けれど、そのときは自分でもよくわからないくらい混乱していて。


だから、180センチはあるであろう大きい彼をほとんど引きずるようにして(そんなことができる自分の可愛げのなさにまた腹が立った)

自分の部屋に連れてきてしまった。


とりあえず、リビングのラグの上に彼を横たえて、金髪をかき分けて額に触れる。


「あっつ!」


そりゃあ肩で息もするわ、と納得するくらい熱い彼の額にびっくりして

とりあえず熱さまシートを探した。


それと、風邪薬。


風邪薬で治るんだろうか、何か難しい病気だったらどうしよう


でも病院に行かないということは、ただの風邪に違いないと信じて

横を向いて大きく呼吸する彼の元に戻った。


そっと前髪を分けて熱さまシートを貼ってあげると

閉じていた瞼がゆっくり開いて

うすい茶色の、きれいな瞳と目があった。


思わず言葉を失うくらい、その目元は綺麗で


その綺麗な目を、ゆっくり、映画みたいに細めて


「ありがと、めっちゃきもちい・・・」


ふにゃ、と柔らかく微笑んだ。


「あ、えっと、寒くない?

毛布もってくるね。

あ、これ、風邪薬だから。のんで」


なんだかこれ以上見つめあってはいけない気がして

私はすぐに彼の傍を離れた。


毛布を渡して、カーペットの暖房をオンにして

お風呂から戻ると彼はもう眠りこけていた。


大きな身体を小さくして、小さく寝息を立てる彼はなんだか可愛らしくて。


そっとその金髪を撫でて、私も寝室に向かった。

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茜音(プロフ) - yuyuさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけて嬉しいです!秘密の恋人みたいに重いお話ではありませんが、こちらのお話も楽しんでいただけたら幸いです! (2016年2月14日 0時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こあさん» 名作なんて滅相もない!こあさんに楽しんでいただけるように、このお話も頑張りますね♪ (2016年2月14日 0時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
yuyu(プロフ) - はじめまして、亮ちゃんの秘密の恋人とっても感動して茜音さんの小説が大好きになりました!茜音さんの小説をまた読みたいと思ってたので新作嬉しいですo( ^_^ )oこれからも応援してます!! (2016年2月13日 12時) (レス) id: 6c48d9adcc (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - 茜音さん» いえいえ、あれは名作ですよ(。´Д⊂)ぼーっとしてたんです~ こちらこそ、お話ありがとうございます♪ (2016年2月13日 1時) (レス) id: a127aff5ea (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こあさん» わーこあさん!お久しぶりです!やすくんのお話は名前コロコロ変えちゃったので、覚えづらかったはず(笑)たつくんのお話もまた楽しんでいただけたら幸いです♪本当にいつもありがとうございます。 (2016年2月13日 0時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜音 | 作成日時:2016年2月10日 13時

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