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「どうしたん?
しんどいん?」
私と目が合うように、ベッドの上に顎を乗せて首を傾げるたつ。
ぼんやりする意識の中で、
そっと手を伸ばすと
絡め取られて、きゅっと握り返された。
私の手の方があったかいはずなのに
たつの指先からじんわり熱が伝わってくる気がするのはなんでだろう。
手を伸ばせば、握り返してくれることに、涙が出そうになるのはなんでだろう。
「はよ寝な、よぉならへんで〜?」
握った手を、私に見えるようにふりふりと揺らす。
「なんか、眠いのに寝れないの」
なんて、めちゃくちゃを言う私に
ふふ、と笑ってくれる。
「子守唄でも歌ったろか?」
「ほんと?なに歌ってくれるの?」
「んー?なんでも、好きなうた」
今日のAちゃんは甘えたさんやなぁ、って
そういうたつも今日はなんだか、いつもよりたくさん甘やかしてくれる。
「じゃあね、3月9日」
「レミオロメンの?」
「うん」
「いいよ」
恥ずかしいから見んといてなって
つないでない方の手で私の目を覆って
小さな声で、歌い始めた。
たつは本当に不思議だ。
声も、手の温度も、全部私を安心させてくれる。
・
・
瞳を閉じればあなたが
瞼の裏にいることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとって私もそうでありたい
・
たつの声が、耳にひどく優しく届いて
私は意識を手放した。
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茜音(プロフ) - yuyuさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけて嬉しいです!秘密の恋人みたいに重いお話ではありませんが、こちらのお話も楽しんでいただけたら幸いです! (2016年2月14日 0時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こあさん» 名作なんて滅相もない!こあさんに楽しんでいただけるように、このお話も頑張りますね♪ (2016年2月14日 0時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
yuyu(プロフ) - はじめまして、亮ちゃんの秘密の恋人とっても感動して茜音さんの小説が大好きになりました!茜音さんの小説をまた読みたいと思ってたので新作嬉しいですo( ^_^ )oこれからも応援してます!! (2016年2月13日 12時) (レス) id: 6c48d9adcc (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - 茜音さん» いえいえ、あれは名作ですよ(。´Д⊂)ぼーっとしてたんです~ こちらこそ、お話ありがとうございます♪ (2016年2月13日 1時) (レス) id: a127aff5ea (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こあさん» わーこあさん!お久しぶりです!やすくんのお話は名前コロコロ変えちゃったので、覚えづらかったはず(笑)たつくんのお話もまた楽しんでいただけたら幸いです♪本当にいつもありがとうございます。 (2016年2月13日 0時) (レス) id: 6872b18133 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜音 | 作成日時:2016年2月10日 13時