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突然襖がスパーンッと勢いよく開けられた音で慌てて飛び起きる。
入り口にいたのは山本さんだった。
A「あ、おはようございます、山本さん」
山本「おはようA。この部屋の奴全員起こすぞ」
A「あ、はい」
隣にいた高坂さんと尊奈門君の肩を掴んで揺さぶる。
A「高坂さん、尊奈門君起き、」
山本「全員起床‼」
高坂「はっ!」
諸泉「ふぁいっ?!」
山本さんの一喝で部屋の全員が飛び起きた。
尊奈門君はまだ寝ぼけているのか隣にいる高坂さんにぶつかり、「起きろ尊奈門」と跳ね除けられた。
山本「先程ベニテングタケ軍が森へ侵入した。全軍が森に入ると同時に侵入経路を岩で塞ぐ。全員持ち場へ急げ」
ばたばたと忍びらしからぬ足音を立てて目を擦りつつ走り出すのを見送り、組頭の屋敷へ行く。縁側と部屋の間の襖を全て開け、日光を入れた。
障子も取り払い、外との境目をなくすことで怪我人を運び込みやすくするためだ。
昨日の夜美弥さん達が汲んできてくれた大量の水を大鍋で沸かし、切開用の小刀を煮沸する。
そうしていると、木箱を抱えて早足に駆けてきた美弥さん達が縁側から顔を出した。
美弥「Aちゃん、黒鷲隊の屋敷で米を炊いてあるわ。握り飯にしてるから、救護所に置いておいて」
A「分かりました。配っておきます。そっちは崖の方へ?」
美弥「ええ」
A「手伝います。まだ攻撃はないと思いますが、お気をつけて」
煮沸は終わったし包帯も十分ある。
箱を一つ受け取り、崖の方へ向かう。
高坂「Aか。崖の上の本陣にはもう足りているから、谷を埋める隊の方に持って行く。雑渡様もそこにいらっしゃる。
貸せ」
A「ありがとうございます」
昆奈門様用の雑炊(というかお粥)を入れた竹筒を持ち、竹の葉で包まれた風呂敷に包んで高坂さんに渡すと、山に入ってあっという間に消えた。
山の中には大量の罠が仕掛けられている。
それを全て避けて行くのだから驚く。
救護所に戻ってしばらくすると、爆裂音と共に土煙が森の奥で上がった。
ベニテングタケ軍の全軍が森へ侵入したのだ。
全軍が崖下へ来るのはもう少しかかる。
美弥「始まったようね」
A「はい。森には常に罠が仕掛けてあるのですか?」
美弥「ええ、でも人間用じゃなくて、猪とか鹿用の狩猟罠。竹槍を敷いた落とし穴とかそれくらい。
あと新しく設置してたのは、石を結びつけた長い竹を持って行ってたくらい」
A「石を結びつけた竹?」
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みずけい - すごい…お上手ですね!絵も作品も設定も!とても面白いです。尊敬しちゃいます (1月6日 16時) (レス) @page26 id: 56c1fb1e39 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 涙さん» ああ!!すみません変換完全にミスりました!ありがとうございます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: 31c0208f5b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 92話祝元になってますよ? (2019年10月13日 19時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
彼は誰時 - 最近、組頭に沼ったのですが…ここが楽園か……最高です!まったり更新待ってます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: fd426a3898 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 名無し65455号さん» ありがとうございます!ミスってました直しときますね! (2019年9月17日 15時) (レス) id: 14131fd91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年8月17日 11時