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魔女の最期 ページ7

『あ゛、う゛………ぁ』


魔女の口から突き出した4本の悪魔の腕が、魔女の四肢を掴み、そのまま口の中へと戻っていく。
口が塞がっているため悲鳴も絶叫もできない魔女は、圧倒的な力により、その体を自らの口へと引きずり込まれていた。
地獄への門が開いている。

魔女の口が、地獄と繋がっているのだ。


「…悪魔の力を借りて勝負するということは、悪魔の名前を使っているということ。
悪魔にとって負けは屈辱、負けた魔女には報復が下されるとは聞いていたけど…」


Aは目を見開いて瞬きもせずに唖然としている。
数十秒もしないうちに魔女の体は全て口の奥へと収まり、全身から絞り出された血液の一滴も残すことなく地獄へと引きずり込まれていった。


「……怖い、ね」


地獄への門が完全に閉じたのを、空気の変化で感じた。かちゃん、と軽い音がしてAの手がボールペンが転がり落ちて床を叩いた。
2人して床へとへたり込む。

恐ろしかった。
怪異なんかとは比べものにならない魂が砕かれるような“恐怖そのもの”に圧倒された。


どれだけの時間そうしてへたり込んでいたんだろう。
ようやく体が震えてきて、Aを見ることができた。
ちゃんといる。
今もちゃんと側にいることを認識できた。


「…花子くん、私」
「A!」


体当たりするように抱きついた。ぶつかる感覚、互いを押し合う肉体の感触、触れ合う頬に感じる体温。
全てがそこにあった。


「A、A!」


名前を呼びながら力一杯抱きしめた。
Aの手がそろそろと動いて、俺を抱きしめ返してくれた。
悪魔への恐怖で乾いていた涙がぼろぼろと溢れてきた。
すっと体が離れ、白い指が目元を拭ってくれた。


「泣かないで、花子くん」


Aはそう言いながら泣いていた。
その涙を指で拭うとくすぐったそうに笑われた。
災厄の魔女は悪魔の報復を受け、手元には誓約書だけが残った。魔女が居なくなろうと、誓約書が持つ魔力は契約を厳守する。

Aの書いた願いは1つだけ。
魔女の説明には、意図的に隠された正解があった。


「複数回目の願いを聞くか否かは魔女が決め、願いには代償を伴う」、つまり1つ目(・・・)の願いを魔女は代償なしで叶えなければならない。
「願いを2分以内に書け」とカウントダウンは焦らせるため。欲張っていくつも願いを書いたりすればゲームオーバーだ。

誓約→←底意地悪さ比べ



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設定タグ:地縛少年花子くん , 土籠 , 柚木普   
作品ジャンル:アニメ
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ほのか - やばい。私の好みにどんぴしゃり! (2020年8月4日 9時) (レス) id: ef884c23cc (このIDを非表示/違反報告)
?返事がない、筆記試験終了の安心で寝ているようだ(プロフ) - ひえっ、めっちゃ細かく考えられてる、すげぇ… (2020年2月15日 8時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - 乾 巽さん» ですよね!!うぅ〜......土籠先生... (2020年2月5日 17時) (レス) id: f38b18c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - すばるさん» そうなんですか…いきなりログインできなくなる系困りますよね (2020年2月2日 17時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
すばる - 乾 巽さん» わああ!!ありがとうございます!!!それがですね、設定ってどこぞや?と思って血眼で探したらログインしないと出てこない系でした...Wii Uなんで、前ログインできてたんですけど何故か去年の夏からログイン出来なくて...ぴえん(;ω;) (2020年2月2日 17時) (レス) id: f38b18c5a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乾 巽 | 作成日時:2020年1月19日 11時

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