嫌だよ ページ5
そうだ。
好きなんだ。
白い肌も黒い髪も憂う黒目も。
居なくならないで、どうかずっとこのままでと願ってしまう。
「Aが居なくなるのが怖い。けどある日突然旧校舎に来なくなるのも怖い。
嫌だよ……ずっとこのままでいたい」
「…どういうこと?
ねぇ、教えて」
触れ合える筈もない手をAに伸ばして抱きしめようとしても、すり抜けるだけだった。
うつむき、懐から羊皮紙を取り出して説明する。
「_________怪異になる、その願いを叶える道具はあるよ。
それに書き込んだ願いはどんな願いでも叶う。
だけど、その代償として魔女に何かを奪われる。
何を奪われるかは分からないし、書き込んだ願いを叶えるかどうかは魔女が気まぐれに決めるっていう底意地の悪い道具だ。
何を奪われるか分からない。Aの魂を未来永劫捕らえることだってあり得るんだ。
最初に会った時言ったよね、寿命が近いって。
ずっと怖かった。
ある日突然死んじゃって俺のところに来なくなったら?
羊皮紙の誓約に失敗して怪異になることなく消滅したら?
怖くて言い出せなかった」
どっちになってもAは俺の前から居なくなってしまう。
「黙ってて、ごめんね。
Aが好きだよ。
大好き。
居なくなったらなんて考えたら頭狂いそうなぐらい。
俺がドーナツ食べたいって言ったら、太るから嫌とか言いながらちゃんと買ってきてくれるところとか、なら食べなきゃいいじゃんって言ったら「一緒に食べるのが楽しいから」って言うところ。
たまに笑ったときの顔とか、俺の話飽きずにずっと聞いててくれるところとか、全部好き。
ちょっとでも長く一緒に居たくて、黙ってた。
黙ってる間も、いつ死んじゃうんだろうって怖かった」
Aの前だと、俺子供みたいだ。
泣いて喚いて、駄々をこねる幼児みたいに。
泣きじゃくってもAの指は涙は拭えない。
そう分かっていても甘えてしまうのは、Aならそれを咎めずに静かに側にいてくれると信じているから。
「花子くん。
私、魔女の誓約書を使う」
落ち着いた柔らかい声音がささやいた。
「やだ」
「ありがとうね、花子くん。
私も大好きだよ。
怪異になりたかったのは、学園と七不思議を見届ける為だったけど動機が変わった。
_______花子くんの涙、拭ってあげたくなっちゃった」
285人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほのか - やばい。私の好みにどんぴしゃり! (2020年8月4日 9時) (レス) id: ef884c23cc (このIDを非表示/違反報告)
?返事がない、筆記試験終了の安心で寝ているようだ(プロフ) - ひえっ、めっちゃ細かく考えられてる、すげぇ… (2020年2月15日 8時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - 乾 巽さん» ですよね!!うぅ〜......土籠先生... (2020年2月5日 17時) (レス) id: f38b18c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - すばるさん» そうなんですか…いきなりログインできなくなる系困りますよね (2020年2月2日 17時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
すばる - 乾 巽さん» わああ!!ありがとうございます!!!それがですね、設定ってどこぞや?と思って血眼で探したらログインしないと出てこない系でした...Wii Uなんで、前ログインできてたんですけど何故か去年の夏からログイン出来なくて...ぴえん(;ω;) (2020年2月2日 17時) (レス) id: f38b18c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:乾 巽 | 作成日時:2020年1月19日 11時