１１３ ページ16
会社の二階と三階は、居住スペースに改築してある。個人経営の割には大きなビルなのだが、やはり会社として使うのと居住スペースに使うのとでは広さの概念が違う。衝立を用意するか迷ったが、元々組長の屋敷に住んでいた時も下っ端は５、８人ほどで相部屋だったから気にならない、と言われ、畳部屋に布団を並べて寝ているのだ。
構成員の１人が布団などから空気を抜いて圧縮する空気抜きの個性を持っていたおかげで布団や衣類は殆どかさばらないのがせめてもの救いだと言える。
もう少ししたら社員寮を作れないか検討しているものの、なかなか厳しいのが現状だ。
経営が軌道に乗っているとはいえ、親父さんの延命治療費も捻出しつつ純利益を高めるのは難しい。
居住スペースの大部屋の戸をノックし、声をかけてから開ける。
「おはようございます。朝ご飯食べます？」
「？！おはようございます、A
兄貴達は今出てますけど…」
テレビを見ていたところを飛び上がって返事をしてくれた若い衆2人を残し、日曜日だというのに殆どが居ないことに驚いた。
聞けば、副業でアルバイトをしようと決めたらしかった。
「やっぱり足りない…？お給料」
解体業者の月給の平均は僅かに下回ってしまっている。今のところこれが限界なのだ。
慌てて首を振られ、説明される。
「あ、いえ！そういう訳じゃないんすよ、充分過ぎるくらいで。
…全員に一定の給料払えるようにバランス良く振り分けるぐらいの仕事取ってくるの、すげぇ苦労してやってくれてるって気がついたんす。
だったら、ここの会社だけで生計立てるんじゃなくすれば良いと思って」
「全員に一定の給料払えるだけの仕事を取ってくるのが私の仕事だもの。
構成員は全員引き取ってもう一度死穢八斎會を立て直すって決めて行動した私には、それ相応の責任がある。
皆には狭い所で苦労かけてるから」
「そうじゃなくて、ですね」
ブンブンと首を横に振られ、否定される。
「A姉がこうやって構成員集めてくれなかったら、俺らはもっと酷い生き方をしなくちゃならなかったんです。それこそまともに生きられないぐらい。
だから、居場所を作ってくれただけでも感謝してるんす。
ただの会社員と経営者なら別として…“家族”なんすから、責任なんて全員で負うし助け合って当たり前す。
兄貴達は、組長ならそう言うに決まってるって」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乾 巽(プロフ) - 諸行無常さん» すっきりしてもらえて良かったです！テンション上がってて今冷静になりましたw (2020年1月31日 20時) (
レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
諸行無常(プロフ) - 全然気づいてなかったです！時系列どのあたりなんだろうって気になってたのでスッキリしました！ (2020年1月17日 23時) (レス) id: eaf6a162a2 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 澪さん» やったあ！仲間ですね！ (2020年1月17日 23時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 私も氏子さんのもしかしてと思ってたので仲間がいてうれしいです (2020年1月17日 23時) (レス) id: 75338ea4b0 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - BT21 さん» ありがとうございます！オバホにどうしても幸せになって欲しくて…！辛さを乗り越えハピエンに辿り着けるよう更新頑張ります！ (2020年1月16日 5時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年12月30日 3時
