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「母さんもついてくから歯医者行くよ、エリ。
虫歯になったら林檎食べられないよ」
女性が治崎の前に立って手を広げた。
「最近は反抗ばかりで。子供は難解ですよ、自分が何者かになれると、_________本気で思っている」
女性の後ろで、治崎が何か…手袋に指をかける仕草をした。
その瞬間、ぱっと女の子の手が離れた。
弾かれるように女性の腕の中に飛び込むと素直に抱き上げられた。
「それじゃあ、パトロール頑張って下さい」
軽く会釈をして路地裏に消えていった三人を見送り、違和感に顔をしかめた。
「殺気を見せて引き寄せたんだ。とにかく、サーの指示を仰ごう」
「はい」
ーーーーー
壊理side
Aさんがいない時、チサキは私に痛いことをする。
だからAさんがいない日は怖い。
昨日もいっぱい痛くされた。
「居た、____壊理！」
Aさんの声に顔をあげると、Aさんは流れるように嘘をついた。
歯医者なんて嘘。
チサキと顔を見合わせただけですぐ誤魔化す嘘をついた。
Aさんが私に手を広げて、その後ろでチサキが手袋を外そうとした。
その目が、いつもの実験の時のように言っていた。
「お前が逃げたらAを殺す。この事はAは知らない。
お前が逃げたから殺されるのだと知ったら、悲しむだろうな」
チサキは怖い。Aさんも時々こうやって嘘をつく。
でも、Aさんが殺されちゃうのは嫌。
痛くないように痛いのを代わってくれる。
林檎をむいてくれる。
居なくならないで。死なないで。
急いで腕の中に飛び込むと、ひょいと抱き抱えられる。
路地裏を通って屋敷に戻る途中、Aさんの顔を見上げた。
Aさんは優しい人。
でも悪い人なの？
分からないよ。
強く服を掴んで、胸元に顔を伏せた。
温かい心臓の音が聞こえていた。
ーーーーー
治崎side
息をするように、流れるようにAは嘘をつく。
嘘を口にする直前に、“今から口にする事は全て真実である”と思い込むのだ。
自分が作り上げた嘘の人格を本物だと思い込ませて話すからボロも出ない。
音本の
優しいだけじゃない、Aの汚れた部分。
染み付いた“嘘の吐き方”もひっくるめてAだ。
優しい部分ばかり見せるAより、こっちの方がずっと“似合っている”。
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乾 巽(プロフ) - 燈@トランペットさん» ありがとうございます！うわぁ恥ずかしい…、スペルミスです…。コメント嬉しいです、更新がんばりますね！ (2019年12月17日 19時) (
レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
燈@トランペット(プロフ) - 突然失礼します！「HAR DATA」の「HAR」のスペルは“彼女の”って意味で使っているのなら「HER」ではないでしょうか。(HARを意図して使っているなら、私の知識不足なのでゴメンナサイ) この小説とっても面白いので更新頑張ってください！応援してます。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: bd1442fb11 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 刹鬼さん» ありがとうございます！コメント、とても嬉しいのでなんか思うところがあったらバンバン言ってくださると嬉しいです！ (2019年12月14日 8時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて思わずクスッと笑ってしまったり、ドキドキしながら読ませて貰っています。これからも頑張って下さい、応援してます。長文、失礼致しました (2019年12月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年12月3日 18時
