２３ ページ24
「私は良いけど廻は？」
「…丁寧に体を洗ってから湯船に浸かるなら構わない」
「じゃあ壊理ちゃんも連れてくる。
お風呂まだでしょ？」
「まだだった筈でやすよ」
地下に降りて壊理ちゃんを迎えに行くと、ドアの開く音に一瞬怯えられる。実験の呼び出しだと思ったのだろう。
「…あ、Aさん…また実験するの…？」
「今日はないよ。一緒にお風呂入ろうと思って」
ほっとしたのか壊理ちゃんの表情が少し緩んだ。
「うん、入る」
ちょこんと手を繋いで階段を上がり、隠し扉を閉じて脱衣所に向かう。服を脱いでいた廻を見て壊理ちゃんが小さく悲鳴をあげて私にしがみついた。
「お風呂入るだけだから…大丈夫よ」
「…ほんと…チサキ、痛いのしない…？」
「したら私が怒るから大丈夫」
「大人なのに怒られるの？」
きょとんと首を傾げるものだから、思わず吹き出してしまった。廻がとても睨んでいるけど気にしない。
ワンピースのボタンを外して裾を掴み、「ばんざーい」と言うと壊理ちゃんが両手をパッと挙げてくれるからそのまますぽーん、と脱がせる。
素早く部屋着のワンピースとタンクトップとショーツを脱いで洗濯籠に放り込む。
洗顔料とタオルを持って浴室に入ると、クロノが入れてくれた入浴剤のラベンダーの香りが広がっていた。
「良い匂いするね」
「ラベンダーの匂いだよ。体洗うから椅子座って……ボディーソープないな。
廻、そっちボディーソープある？取って」
四つあるうちのシャワーの一番端を使っている廻に向いて聞くとボディーソープのボトルが投げて寄越された。
「ありがと」
もこもこに泡だてた泡で全身を洗い、シャンプー、リンスパックを壊理ちゃんにも丁寧にやってあげる。
流石は子供の髪、全くと言って良いほど傷んでない。
シャンプーの泡を泡立てて髪を洗っていると、壊理ちゃんの頭の上にちょうど泡が二段に重なって雪だるまのようになっていた。
私の頭にも同じように泡が乗っている。
「廻、見てみて」
「遊ぶな」
「ダブル雪だるま」
「自分の年齢考えろ、三十路」
「フルスイングで特大ブーメラン投げてるけど同い年だからね？」
リンスパックを終える頃には廻はもう湯船に浸かっていた。女子組は風呂に時間がかかるのだ。
壊理ちゃんを抱えて風呂に浸かり、じわじわと手足を伸ばす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乾 巽(プロフ) - 燈@トランペットさん» ありがとうございます！うわぁ恥ずかしい…、スペルミスです…。コメント嬉しいです、更新がんばりますね！ (2019年12月17日 19時) (
レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
燈@トランペット(プロフ) - 突然失礼します！「HAR DATA」の「HAR」のスペルは“彼女の”って意味で使っているのなら「HER」ではないでしょうか。(HARを意図して使っているなら、私の知識不足なのでゴメンナサイ) この小説とっても面白いので更新頑張ってください！応援してます。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: bd1442fb11 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 刹鬼さん» ありがとうございます！コメント、とても嬉しいのでなんか思うところがあったらバンバン言ってくださると嬉しいです！ (2019年12月14日 8時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて思わずクスッと笑ってしまったり、ドキドキしながら読ませて貰っています。これからも頑張って下さい、応援してます。長文、失礼致しました (2019年12月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年12月3日 18時
