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「おはよう」
キッチンのカーテンをめくって入ると、席に着いた廻が黙々と食パンを頬張っていた。
口に含んでいた分を飲み込んでからぶっきらぼうな返事が返ってくる。
「あぁ」
「今日は何処に行くの？買い物？温泉？」
珈琲を淹れるためのお湯を沸かそうとしたらもう湧いていたのでそれを使う。多分廻が沸かしておいてくれたのだ。
トポトポとお湯を注ぐ音に重ねて廻が答えた。
「買い物。壊理も連れて行く。さっき地下から連れてくるように指示した」
「そう、何を買いに行くの？」
「服。傷んできたと報告があった」
壊理ちゃんの服はなんの飾りけもないワンピースだけだ。下着類も適当に見繕っていたが、それも傷んできたんだろう。
廻が外出しようなんて言うのは珍しい。
クロノが壊理ちゃんを連れてキッチンに入ってきた。
「遅くなってすいやせん、連れてきやした」
「おいで、壊理ちゃん」
片手を差し出し、壊理ちゃんがその手を取るまでじっと待った。そろそろと伸ばされた小さな手を握り、食卓に着かせた。
「今から朝ごはん作るからね」
「………うん……」
目玉焼きとチーズトースト、コーンポタージュ、トマトサラダをワンプレートに盛り付けてだす。
壊理ちゃんは皿を見て不安そうに聞いた。
「食べていいの？」
「どうぞ、召し上がれ」
私が壊理の隣に座って朝食を食べているのを、廻はじっと見つめていた。
「今日は俺のことを父さん、Aのことを母さんと呼べ。家族連れなら目立ちにくい」
「目立ちたくないならそのペストマスク取ったら。
マスクにして」
私はペストマスクではなくハーブオイルを染み込ませたマスクを着けている。
目立たないしこっちの方が楽だ。
朝食を食べ終わり、壊理ちゃんに長袖と上着を着せ、靴を履かせる。
「行くぞ」
「はい。行こう、壊理ちゃん」
手を繋いでもう片方の手で日傘をさして歩く。
はたから見たら親子三人で外出しているように見えるだろうが、その実、関係はあやふやなものだ。
街中の服屋に入り、サイズ違いがあるか店員に聞いていると、店員が世間話の途中に、数歩離れて立っている廻に話を振った。
「旦那さんですよね？」
「えぇ、そうです」
廻は微笑んで頷いた。
「綺麗な奥さんと可愛い娘さんに服を選んであげたら如何です？せっかく家族で買い物に来てるんですし」
少々お節介な店員だったが、廻は気分を害したそぶりも見せずに返事をした。
「それもそうですね」
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乾 巽(プロフ) - 燈@トランペットさん» ありがとうございます！うわぁ恥ずかしい…、スペルミスです…。コメント嬉しいです、更新がんばりますね！ (2019年12月17日 19時) (
レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
燈@トランペット(プロフ) - 突然失礼します！「HAR DATA」の「HAR」のスペルは“彼女の”って意味で使っているのなら「HER」ではないでしょうか。(HARを意図して使っているなら、私の知識不足なのでゴメンナサイ) この小説とっても面白いので更新頑張ってください！応援してます。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: bd1442fb11 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 刹鬼さん» ありがとうございます！コメント、とても嬉しいのでなんか思うところがあったらバンバン言ってくださると嬉しいです！ (2019年12月14日 8時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて思わずクスッと笑ってしまったり、ドキドキしながら読ませて貰っています。これからも頑張って下さい、応援してます。長文、失礼致しました (2019年12月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年12月3日 18時
