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実験室の鍵を開けて戸を開けると、血がぴしゃりと頬にかかった。
部屋の奥を見て立っている廻の背中に隠れた床と鼻腔を満たす鉄の臭いに愕然とした。
分解された、壊理ちゃんだったモノ。
「…かい…何を…」
「分解系ではないな。消滅系ともまた違う」
ぶつぶつと呟きながらパッと修復する。
何が起きたのか分からないという顔で泣き出した壊理ちゃんに駆け寄って抱きしめる。
暖かい。
ちゃんと生きてる。
「…ねぇ。何してるの」
背を向けたまま聞いても、廻はそれには答えない。
「どけ、A。もう一度試す」
「ねぇ！」
思わず声を荒げ、廻を睨みつけた。
「何をするの、こんなこと、親父さんが知ったら」
「個性を研究するように言われたからやってるだけだ。
「痛がってるじゃない！」
せめて私が
まだ幼い子供にあんな激痛を味わせるなんて。
怒るのは苦手だ。怒鳴るのも。できる限り精一杯に廻を睨みつけた。
「っ………分かった」
一瞬驚いた後、不機嫌そうに実験室を出て行った。
腕の中の壊理ちゃんを抱きしめながら呟いた。
「何が分かった、よ…」
その後は実験の時は私が痛みを受け入れていた。
けれど一番最初の恐怖と痛みが壊理ちゃんの頭から消えず、変わらず痛い、と感じているようだった。
わざと私を呼ばずに
痛めつけようとして。
廻は親父さんの前では壊理ちゃんに笑顔を向ける。
けれど、壊理ちゃんを憎んでいるかのような行動をする。
私に黙って、私がいない時に実験をすることも多かった。
巻き戻しの個性だと判明した後も廻は研究を続けた。
個性抹消の弾丸、その血清を作れるかもしれないと喜んでいた。
研究を止めて、と言っても止めてくれない。
廻は、弾丸作りの資金繰りのためにクスリの売買に手を出した。
個性強化薬、所謂ドーピング剤の一種の麻薬で、個性社会では重要取締薬だ。
もちろん組の方針に反する。
クスリはアシがつきやすいし一発でパクられるから。
親父さんと廻の間に溝ができていくのを、私は止められなかった。
______
…何もできなかった。
意志も力も脆くて弱くてどうしようもない。
グラリ、と意識が覚醒する。
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乾 巽(プロフ) - 燈@トランペットさん» ありがとうございます！うわぁ恥ずかしい…、スペルミスです…。コメント嬉しいです、更新がんばりますね！ (2019年12月17日 19時) (
レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
燈@トランペット(プロフ) - 突然失礼します！「HAR DATA」の「HAR」のスペルは“彼女の”って意味で使っているのなら「HER」ではないでしょうか。(HARを意図して使っているなら、私の知識不足なのでゴメンナサイ) この小説とっても面白いので更新頑張ってください！応援してます。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: bd1442fb11 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 刹鬼さん» ありがとうございます！コメント、とても嬉しいのでなんか思うところがあったらバンバン言ってくださると嬉しいです！ (2019年12月14日 8時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて思わずクスッと笑ってしまったり、ドキドキしながら読ませて貰っています。これからも頑張って下さい、応援してます。長文、失礼致しました (2019年12月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年12月3日 18時
