【wrwrd】マスターの一週間【男主】

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『こちらがメニューになります。お決まりになったらお声がけください。』

Aは丁寧にメニューを三人に見せ、もう一度礼をしてカウンターに戻った。そして三人は目の前に広げられたメニュー表に視線をおとす。

「ここの料理はどれもうまいからな。好きなのを選ぶといい。」

「おれはこの前ぐるちゃんが食べとったオムライスにするわ。うまそうやったもん。」

「では俺はハヤシライスにしよう。あと日替わりスイーツだな。さて、トン氏はどうする？」

着々と決めていく二人に置いてかれているトントンは、食い入るようにメニュー表を見つめ悩んでいた。如何せん初めて来たところだ、グルッペンにおすすめを聞こうと考えていた矢先にどれも美味しいと言われてしまえば悩むのは当然である。必死に悩んでいると、ようやくグルッペンが救いの手を差し伸べてくれた。

「…そこまで悩むのだったら無難にナポリタンにしろ。飲み物は？」

「え、あ、じゃあコーヒーにするわ。」

「わかった。マスター。」

強引に決められ、グルッペンは手を挙げてAを呼び決めたものを伝えていく。慣れたそれは、いかにグルッペンがここに通っていたかを物語っていた。

「…以上を頼む。」

『かしこまりました。お飲み物は食後でよろしいですか？』

「あぁ、大丈夫だ。」

『では、少々お待ちください。』

ぺこり、と頭をさげまたカウンターへ戻っていくA。三人はカウンターの方へ向けていた目線を戻す。ふと、トントンはずっと疑問に思っていたことをグルッペンにぶつけた。

「あなた、よくまぁあんな忙しい日々を送りながら常連になんてなれますねぇ。暇なんですか？」

「そ、そういう訳ではないゾ。ただたまに息抜きとしてここに通っていたら結構な回数になっていただけで、」

「つまり仕事を抜け出していたと。」

確信めいたものいいをしてグルッペンを追い詰めていくトントン。向かいから見ていた鬱先生は笑いを堪えようとしているが、まったく堪えられておらず時折笑い声が漏れている。そんな彼にもトントンは「お前もなに仕事ほっぽって女関係こじらせとんねん、早く死 ね」などと店主のAに申し訳ないと思いつつも暴言を吐いた。

しばらくそうして会話を続けていると、ふわりと美味しそうないい香りが漂ってきた。食欲をそそられる。トントンが内心「腹減ったなぁ、」なんて考えていると、返事をするように腹が鳴りそれと同時にAの「お待たせしました」という声が聞こえた。

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