拾壱話 ページ12
それから一週間が経った。
血鬼術の副作用の効果もある程度収まってきた頃、Aは童磨にある事を尋ねた。
「前から聞こうと思ってたんだけど
一瞬目を丸くしたものの想定内、といった顔で童磨は笑った。
「女の子はいないよ。男の子ならいるけどねぇ」
「そっか…そうだよね」
(まあこんなものか。これくらいなら覚えてても問題ないだろう)
2人でしばらく談笑をしていると襖を引く音がした。
入ってきた人物を見るなり彼女の顔にパッと花が咲く。
「黒死牟さん…!!」
病み上がりの状態といっても過言ではないがぱたぱたと小走りするAの姿はかわいらしいもので、彼女はそのまま黒死牟の胸に飛び込んだ。
「A…」
「よかったね!黒死牟殿!」
「童磨…貴様は少し黙れ…」
「怖いなぁ」
ぎゅーっと抱き合う2人は傍目から見ると親子のようにもみえた。
「2人とも今日もうここを出るんだろう?日が暮れるまで俺と遊ばないかい、Aちゃん」
そう、2人は今晩万世極楽教を出る。
数日の間さとりとして信者たちと過ごしてきたがそれも終わる。黒死牟の屋敷へと帰るのだ。
遊び?と聞き返すAに童磨は言った。
「覚えてるかい?この前猗窩座殿達と4人でやった遊びを…」
「あれはやだ!」
即答だった。
Aがそう言うのを知っていたかのように童磨は懐から何やら紙とサイコロを出した。
「じゃーん!双六だよ」
にこにこと楽しそうな顔で童磨は持っていた紙を敷いた。
「すご…ろく…」
「黒死牟殿もやらないかい?」
「面白そう…!黒死牟さんもやろうよ」
「…そうだな…少し付き合うとしよう…」
童磨は待ってましたとばかりによっと手を叩くと琵琶の君、そう言った。
するとどこからか琵琶の音と共に部屋に猗窩座が落ちてきて。
「猗窩座殿も双六やろう!」
「断る」
苦虫を噛み潰したような顔だった。
「…猗窩座一緒に双六しないの…?」
鶴の一声、というやつだろうか。
「仕方ない、一回だけだ。」
________
「くそ、またか!!!」
猗窩座は机を叩いた。
「猗窩座殿ったらまたお金なくしてきて」
「この双六お前が考えたんだろう」
「正解!」
この双六は童磨が考えたものだった。1人につき1つ小さな人形と双六が一つずつ渡され、順番を決めた後双六で出た数字の数だけマスを進む。どうやらマスの内容は人生を表しているらしくお金を1番持っているやつの勝ちらしい。
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