15 ページ16
◆
「さっさと俺の抱き枕になれ」
柔らかそうな草の上に寝転がったレオナは腕を広げる。
『ふふっ、はーい』
抱き枕になるため私はその腕に頭を乗せた。
すぐに身体に巻きついてくる尻尾と腕。
「これどうした」
『え？ あ、これは昨日アルバイト中にちょっと火傷しちゃったの』
レオナが私の手を取る。
包帯の理由を言うと整った顔が顰められた。
「女が身体に傷なんて作ってんじゃねぇよ」
『ふふ、レオナもお母さんみたい。アズール先輩が調合してくれた薬のおかげで痕も残らないって言ってたよ』
「タコ野郎も少しは使えるじゃねぇか」
『心配かけてごめんね』
「わかればいい。俺に心配させるなんざAくらいだ」
『レオナを心配させないように気をつけるね』
「そうしてくれ。……さっさと寝ろ」
『うん』
目を閉じればすぐに聞こえてくるレオナの寝息。
植物園の暖かい室温、レオナの高い体温に包まれればすぐに眠れるはずなのに
私はちっとも眠くならなかった。
◇◆◇◆
「あっ、いたいた！ Aちゃん！」
『ケイト先輩、こんにちは』
「やっほー！ ねぇ、オレに着いて来てくれない？」
『今からですか？』
「うん、今すぐ！」
『はい』
「んじゃ、ハーツラビュルへしゅっぱーつ♪」
ケイト先輩に手を引かれて鏡舎の方へ歩いて行く。
ハーツラビュルってことは、またお茶会かな。
誘ってもらえて嬉しかったはずのお茶会が今は……嬉しくない。
なにか食べたらまた嘘をつかないといけないから。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここ(プロフ) - 監督生さん» 監督生さん、こちらも読んでくださったんですね…！ありがとうございます！この作品は気持ちを込めて書いた作品なので、読んでくださった監督生さんに伝わって嬉しいです。ありがとうございます！ (2021年6月29日 21時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
監督生 - すごく感情がものすごく感じます お疲れ様です！ (2021年6月29日 20時) (レス) id: c9903e0c6f (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 翡翠さん» 最高の褒め言葉をありがとうございます…っ！オバブロするお話はかなり時間がかかりそうですので、どうか気長にお待ちください^ ^ (2021年6月22日 19時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - オバブロする話、出来たらみますね！涙線ゆるゆるになったのはここ様の作品が素敵だったからですので、ここ様が謝らないでください！(一応、私なりの褒め言葉なんです…！) (2021年6月22日 17時) (レス) id: 985c3b27ad (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 翡翠さん» 夢主ちゃんがオバブロするお話、実は書きたいなと思っていましたのでこれを機にお話を考えてみますね^ ^書けましたら短編集の方で公開しますので、読んでいただけますと嬉しいです^ ^ (2021年6月18日 21時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2020年12月13日 21時
