◇ ページ29
◇
姿が戻り、ぶかぶかの男子用の制服を着たAはレオナの足の下で粉々になったネックレスに視線を落とすと困った眉を下げる。
『もう……壊すことはなかったのに。それ、高いから大切にしてくださいねって学園長先生に言われてたんだよ』
「んなこと俺が知ったことじゃねぇな。お前にこんな真似させた黒幕はクロウリーの野郎か。あのカラス野郎……砂にされる覚悟はあるんだろうなァ」
『す、砂！？ あ……えっと、そのこれには事情があって』
黒幕、確かにこの企画を持ち出したのは学園長だが、事情を説明しなければレオナは学園長室に向かい暴れてしまうだろう。
Aが学園長を庇おうと口を開くと、レオナの横に光が集まり、マレウスが現れた。
「A」
『マレウス！』
「……はぁ。Aの魔力に気づいて来やがったか」
「いなくなったと聞いて心配した。怪我はないか？」
『心配かけてごめんなさい。どこも怪我してないよ』
「そうか、それならば良かった。キングスカラーが学園長の話をしていたようだが、お前が姿を消していたことと何か関係が？」
Aの無事を確認したマレウスは微笑みながら聞くが、その笑みには怒りが孕んでいることをAは気づいた。
ゴロゴロゴロ……。遠くの空で雷音が聞こえるのは気のせいだろうか。
『えっと、実はね……』
「はい、皆さん、お疲れ様でした」
Aが2人に事情を説明しようとしているとスピーカーから聞こえてきた学園長の声が学園内に響き渡る。
「えー、皆さん楽しんでいただけましたか？ 実はこれ、【もしもAさんがいなくなってしまったら】というドッキリだったんですよ。皆さんが必死にAさんを探す様子は全て監視カメラで見させてもらいました。ちなみに今日1日でAさんを見つけられるのかを一部の教師陣で賭けていましてね。もちろん私は見つけられると信じていましたよ。それではまた次の企画をどうぞお楽しみに」
ブチッ。学園長がスピーカーを切った音がやけに大きく聞こえた。
▶
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 611人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時間の止まったリス - んぁあ゛あ゛あああああああああああああ… ラギー•癒しでかわいい•ブッチ (2022年3月15日 16時) (
レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 咲希さん» 咲希さん、お題箱へのリクエストありがとうございました(*´꒳`*)またお待ちしております♪ (2021年11月29日 8時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
咲希 - 遅れました！！シルバーくんの話ありがとうございます！！ (2021年11月29日 0時) (レス) id: dcd6ff7333 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ミオさん» ミオさん、お題箱へのリクエストありがとうございました！またお待ちしております(*´꒳`*) (2021年11月16日 0時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - ここさん、お題吸収ありがとうございました！ (2021年11月15日 23時) (レス) @page25 id: 054e3ea455 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2021年10月27日 19時
