◇ ページ23
◇
「ボクたちはまだ交際してそんなに日も経っていない。そんな、キ、キスだなんて……早すぎ、じゃないだろうか」
「別に早すぎじゃないと思うよ？ 人によるけど、その日にしちゃう人もいるし」
「そ、その日に……世の中の男女は進んでいるんだね……」
Aに気持ちを伝えたあの日、自分は気持ちを伝えるだけで精一杯だったというのに、キスなんて出来る余裕があるはずがない。
「もっと先に進んでる人も普通にいるからね〜」
「さ、先に……！？ Aも……それを望んでいるのだろうか」
「んー……Aちゃんはリドルくんと一緒にいるだけで幸せだと感じてると思うけど……。焦らずにリドルくんはリドルくんたちのペースでいいんじゃないかなっ」
「ボクたちの、ペース……」
「それじゃ、リドルくん行ってらっしゃい♪」
ヒラヒラと手を振り、部屋を出て行くケイトを目で見送ると、リドルはスマホを取り出し、あることを調べ始めた。
◇◆◇◆
「…………」
〜♪
リドルはどこか緊張した様子でオンボロ寮のチャイムを鳴らした。
すると中からパタパタと足音が聞こえたと思うと扉が開いた。
『リドル先輩っ』
「A、待たせたね」
『いえっ。つい先程マドレーヌが焼き上がったところなんです。中へどうぞ』
笑顔で自分を迎え入れるAにリドルは自然と口元に笑みが浮かぶ。
「(こんなに穏やかに笑えるようになったのはA、キミのおかげだよ)」
美味しい紅茶の茶葉がサムさんのお店にあったんです！ と嬉しそうに言うAに、リドルはこれから行われる2人きりのお茶会が楽しみで仕方なかった。
◇
「美味しい……」
Aの手作りのマドレーヌを一口食べたリドルはあまりの美味しさに感動した。
普段からトレイの作るお菓子を食べて舌が肥えているが、Aが作ってくれたこのマドレーヌは格別に美味しく感じた。
『喜んでもらえて嬉しいです。紅茶のおかわり淹れますね』
「うん、ありがとう」
Aは頬にかかった髪を耳にかけ、ティーポットに手を伸ばす。
顔を隠していた髪が耳にかかり、リドルにはAの横顔がはっきり見える。
先程ケイトと話したからだろうか。それともあんなことを調べたからか。
桜色をしたふっくらと膨らんだ唇に目がいってしまう。
▶
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 582人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミオ(プロフ) - ここさん» こちらこそ書いてくださってありがとうございます(*^^*) (2021年10月25日 15時) (
レス) id: 054e3ea455 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ミオさん» ミオさん、リクエストありがとうございます！デュースとの甘々のお話ですね、かしこまりました(*´꒳`*) (2021年10月25日 8時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - とても素敵なお話ですね！リクエストをしたいのですが、デュースとの甘々を書いてもらうことは可能でしょうか？ (2021年10月24日 23時) (レス) id: 054e3ea455 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ぷかぷかさん» ぷかぷかさん、コメントに応援ありがとうございます^_^リクエストかしこまりました。幼児化した際は人魚と人間の姿、どちらがよろしいでしょうか？ (2021年10月24日 10時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ぷかぷか - とても素敵な作品ですねこれからも頑張ってください。リクエストをしたいのですが夢主ちゃんが幼児化したオクタヴィネルをお世話するお話が見たいです。お願いできますか？ (2021年10月24日 4時) (レス) id: 905c688a73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2021年7月30日 23時
