22:Browning flower ページ26
「君か、試練の通達人は。」
白髪が姿を現す。飄々としているその雰囲気は、僕達を支配しているようだった。
「そうですよ。貴方は"他人"に傾倒し過ぎです。」
他人に傾倒…確かにこの現状だとそうだろう。
その言葉は…僕は……
ふと、凍さんの方を見る。彼はただ、遠くを見据えるだけだった。僕のことなんてまるで興味無いかのように。
「ここでグダグダしていてもしょうがない。さあ、あなたに試練を与えましょう。」
そう言って僕に手を翳す。床に、宝箱のような箱が生成される。
あとは___扉、だ。
「また試練…?僕はもう突破した筈…」
「何を言ってるの。
スカイめ…もう疲れた…
辺りが少し暗くなる。空は薄く曇っていた。
「…って!この試練、何なんだよ…!凍さんは何が…!…あったんだよ…」
どうしても声が震えてしまう。僕は怖いのか?誰かに忘れられることが?
_そう問いかけるも、白髪はもういなくなっていた。
この箱は、元々凍さんの周りにあったものだ。
恐らく彼は、この箱を開けたのだろう。それでこんなことに?
「凍、さん」
意味もなく呼びかけてみる。
「はい?」
作り笑いを浮かべていた。
分かりやすく、目線を逸らして。
「…いや、なんでもない…」
さっきの攻撃で手先もやられたのだろうか、上手く動かなかった。
『始めようか、鍵探し』
スカイが言っていたことを思い出す。
こことあの空間は連結していた。つまり、ここで鍵を探せと…?
とにかく、この箱を開けるしかないだろう。怖いけれど、このままでは何も進まない。
近くにあった箱を一つ開けてみる。
「…?何も無い…?」
そう思った矢先、宝箱の後ろに…さっき見た影がいた。
「………スカイ」
警戒したものの、何か言い残してすぐ消えてしまった。
『____』
それがどのような事を表すのか、僕にはまだ分からなかった。
……あれ?さっき僕は、何の事を考えていたんだ…?
__記憶が、消えている。
まさか、凍さんもこれと同じ現象に…
彼はただ淡々と、僕を見つめているだけだった。
凍さんの手に、きらりと光るものがあった。
「…なんだあれ…なんだ、あれ。」
鍵のようなものだった。
記憶が無い凍さんは、話しても何も答えてくれないだろう。
それでももどかしさに、凍さんの手を取ってみる。
「…っ」
第5の試練の時よりも重い、手の振り解き。
知らない人から触られたら怖いだろう。それでも…。
23:Judgment Key→←21:忘却した宝箱...。
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mofu megane(プロフ) - 桜道 あすかさん» ありがとうございます!励みになります...! (2021年12月30日 23時) (レス) @page4 id: 950de74267 (このIDを非表示/違反報告)
桜道 あすか - 面白そうですね。更新待っております。 (2021年11月23日 12時) (レス) id: 47dc307598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mofumegane&黒獅子凍 | 作者ホームページ:youtube.com/channel/UC-31h_OvshlXRHaXmKewceQ
作成日時:2021年11月22日 22時