15:有為転変シンドローム by mofumegane ページ16
「…っみかんさん?!使えないって言ってたよな?!」
「あれは僕じゃない!あいつが…っ!何で響素を…」
クソ、何であの果実を食べたんだ?これは、毒か…?
意識が保てない…
そう感じている合間にも、炎は凍さんへと向かっていく。
あの大きさは、けん制どころじゃない。
「あれ、にしても速度遅くねぇか?とっととぶちのめす!」
凍さんは炎を飛び越えたかと思うと、大樹に氷を纏った拳を見舞いする。
響素が使えない僕は、ただの愚図だ。というか、今にも倒れそうで…
「よっしゃあ!凍ったっ…みかんさん?」
意識が途切れた。
✥
大樹の動きを封じ、まずは一息つく。
そうして振り返ると、みかんさんはいなかった。驚いて正面を見ると、辺り一面炎で包まれていた。
さっきの果樹園とも違う…炎刃の影響なのだろうか。
ゆらり、と。立ち上がる誰かがいた。
そこはかつて、大樹が鎮座していたであろう場所だ、
「毒が回って、うまく話せない」
毒。恐らく、みかんさんがさっき食べていたリンゴだろう。
何でみかんさんだけが、いるんだ?
「何も見えない」
「ふふ、いい感じに仕上がってきたようね。あの大樹は偽物よ…というか、果実を食べた人と大樹は連携するようになってるの。
ああ、喋っちゃった。ま、頑張ってね…♪」
あの狸…声だけは聞こえた。何を頑張れと。解毒なんて道具が無いんだが!
まさか、みかんさんと…戦えと?これまでのことを総合すると__そうなるが。
しかし彼は病人だ。いくらなんでも無理だ。
__鍵。
否、何を考えているんだ…
俺が葛藤していると、シャキンと、金属の音が聞こえた。
「君が前に立ちはだかるからか、視界がぼやけるんだ」
「みかんさん!一体どうしたんだよ!!」
彼は鉈を持っていた。
切っ先を俺に向けてくる。嘘だろ。文明の利器には勝てないって!
「なあ!一緒にここから出るって___」
言い終わるのも待たず、鉈の軌跡が俺へと向かってくる。
炎が遅かったのも、これを油断させるためか?
髪が少し切れる。わざと外したのだろう。
「…ん?動かない?」
そうだ、さっき大樹を凍らせたんだ。連携しているみかんさんも動けないはずだ。
投げた鉈を一瞥もせず、また新しい鉈を取り出す。
「きれいな」
さっきから途切れ途切れでなにかを言っている。
時間が経つにつれ、ここの温度が暑くなっている。暑くて、みかんさんの顔が見れない。
「せんたくを」
「たのむ」
「…ああじれったい!!もうどうすれば…!」
16:獅子の選択 by 黒獅子凍→←14:第6の試練_産み落とされた林檎 by 黒獅子凍
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mofu megane(プロフ) - 桜道 あすかさん» ありがとうございます!励みになります...! (2021年12月30日 23時) (レス) @page4 id: 950de74267 (このIDを非表示/違反報告)
桜道 あすか - 面白そうですね。更新待っております。 (2021年11月23日 12時) (レス) id: 47dc307598 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mofumegane&黒獅子凍 | 作者ホームページ:youtube.com/channel/UC-31h_OvshlXRHaXmKewceQ
作成日時:2021年11月22日 22時