13:激流よりも強い炎 by mofumegane ページ14
「なるほど」
話を聞き終え、強く凍さんを見据える。
彼の狂気は収まっていた。しかし___
「…っ」
泣いていた。
彼は僕に、初めて弱音を見せてくれた_____。
「ありがとう、話してくれて…」
凍さんと”生徒”達の姿が重なる。
しかし、僕は大切な友人でさえも救えないのか。
話を聞いただけで救った気になっている自分自身に、大きな嫌悪を抱いた。
でも今は…
「なあ、みかんさん。こいつ___灯火を早く抹消しようぜ」
「ああ、そのつもり。」
二人で灯火を見る。
灯火は完全にこのやりとりに飽きていたようだ。
「おっと、俺のことを忘れてなかったのか。ついでに随分舐めた口を…」
殺気立った灯火に、一瞬の隙が生まれた。
僕はすかざず響素でけん制する。
彼は見切っているかのように腕を振り上げ、容易く響素を打ち消す。
凍さんは灯火の後ろに立ち、奇襲する。
「ははっ、俺がカギだって気づいたんだな。凍は。」
「さっさとくたばれ!」
投げられた風船を避けるかのように軽々と躱す。
ここの
「対象指定…炎刃、ビルド__不意打ちになれ…!」
凍さんと僕の攻撃が灯火を貫く。
互いに体力を消耗しており、さっきよりも弱い一手だった。
しかし灯火はふいに嗤って___
「はっ、そんだけ決意がありゃ、この先もいけんだろ……そんなごっこ遊び、大嫌いだけどな」
避けなかった。ただ、魔術所を掲げて僕を見ていた。
急にシステムのように無機質に変わる灯火に訝しげな表情をしたが、気づく様子も無かった。
__今度こそ、扉が開いた。
✥
「凍さんにそんな壮絶な過去があったとは。だったら…第三の試練でもう、きつかったんじゃないのか?」
「確かにきつかった。だけどもう10年以上も前だ。辛いけど…もう今は割り切ってる…」
「割り切ってたらあんなに狂乱しないだろ。でも…辛いことを話させてしまってすまん」
凍さんの顔はわずかに陰っていた。それもそうだろう、僕もあんなん発狂するしかない。
さあ、あと2つだ。少しくらいゆっくり行っても大丈夫だろう。だいぶ…疲れたな。
さっきの戦闘をまるで見ていないかのように、何一つ物も動いていない書斎。
ふと目についた本を手に取ってみる。
”試練のその先”
怖い。手に取ってみはしたものの、何が待ち受けているのか。
これは総てが詰んだ時に…使おうか。なあ、どうか俺を___…まあ、いいか。
互いに存在を確かめながら、次の扉へと向かう。
14:第6の試練_産み落とされた林檎 by 黒獅子凍→←12:黒獅子の過去 by黒獅子凍
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mofu megane(プロフ) - 桜道 あすかさん» ありがとうございます!励みになります...! (2021年12月30日 23時) (レス) @page4 id: 950de74267 (このIDを非表示/違反報告)
桜道 あすか - 面白そうですね。更新待っております。 (2021年11月23日 12時) (レス) id: 47dc307598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mofumegane&黒獅子凍 | 作者ホームページ:youtube.com/channel/UC-31h_OvshlXRHaXmKewceQ
作成日時:2021年11月22日 22時